北南共同宣言から6ヵ月
4項目ですでに実践
憂慮される守旧勢力の台頭
歴史的な6・15北南共同宣言が発表されてから、15日で6ヵ月になる。その間、閣僚級会談が平壌とソウルでそれぞれ開かれたのをはじめ、国防相会談と軍事実務会談、経済実務会談、赤十字会談が行われ、合意書などが発表された。また、2回の離散家族訪問団の交換が実現し、北と南の家族が肉親の情を分かち合った。とくに、総聯同胞の故郷訪問実現は、在日同胞にとって画期的な出来事となった。一方、北南共同宣言に反対する勢力が存在することも事実で、彼らは態勢を立て直して北南関係を再び対決状態へ導こうと試みている。北南共同宣言発表からの6ヵ月間をふり返ってみた。
確認された「 在日も統一の一員」 在日同胞にとって特筆すべきことは、総聯同胞の故郷訪問が実現したことだろう。 在日同胞のほとんどは南朝鮮出身だが、北南対決のために故郷を訪問することができなかった。その最大の理由は、南朝鮮の「国家保安法」によって、総聯が「敵」と規定されているためだった。 南朝鮮当局は表向き、総聯同胞に個別に臨時のパスポートを発行し、身辺の安全を保障すると言ってきた。しかし、個別的な臨時パスポートの発行は、総聯からの離脱を前提にしたものだった。祖国のために、民族のために働いてきたことがどうして罪になるのか、そう言って在日同胞は飛行機でわずか2時間の道程を、50余年間も行かずに耐えてきたのだ。 その夢にまで見た総聯同胞の故郷訪問が、7月に行われた第1回北南閣僚級会談で合意、実現したのだ。在日同胞も祖国統一運動の一員であることが名実ともに確認された瞬間だった。会談に先立って金正日総書記が、総聯の同胞の故郷訪問問題で必ず合意を生み出すよう北側代表団長に指示して実現したものだ。 そして9月、第1次総聯同胞故郷訪問団が、堂々と胸を張って50余年ぶりに故郷を訪れ、肉親と感動的な再会を果たした。 ◇ ◇ 北南共同宣言発表からの6ヵ月間で、北と南が合意した主な内容は、@金永南最高人民会議常任委員会委員長のソウル訪問A軍事当局者会談の開催B離散家族訪問団の交換C経済実務会談の開催と投資保障文書の作成D京義線鉄道および道路連結工事の着工E北側経済視察団の南側への派遣F臨津江流域の水害防止事業に関する共同調査の年内実施G白頭山、漢拏山観光団の交換――などだ。 このうち、AからDまではすでに実行され、Gも南側からの白頭山観光が実現した。そのほか、シドニー五輪での北南選手団の共同入場行進実現、南側言論社社長一行の訪北および文化、芸術、経済分野での交流など、北南和解、協力の雰囲気はいっそう盛り上がった。 こうした成果に支えられて12日から行われる第4回閣僚級会談では、北南間での投資に関する文書と、京義線連結工事と関連した軍事的問題に関する文書が、それぞれ採択されるとみられる。 投資に関する文書の採択は、北南経済協力をこれまでの個別的次元から全面的次元へと押し上げる道を開くだろう。事実、今年10月末現在の北南交易額は、3億5676万ドルに達し、昨年同期よりも34・5%も増え、年内に4億ドルを突破する勢いを見せている。 また、2回にわたる軍事実務会談で双方は、京義線連結工事における軍事問題の処理に関して意見を接近させた。ここで注目されるのは、工事現場周辺の南側非武装地帯の管理権を北と南が掌握したという事実。限界があるとはいえ、非武装地帯に初めて外勢の介入しない区域が誕生したのだ。北南共同宣言にうたわれた統一問題の自主的解決に大きな意義を持つ出来事だ。 ◇ ◇ かと言って、北南共同宣言の履行は順風満帆ではない。南朝鮮で北南の和解に歯止めをかけようとする動きが起きているのだ。 野党ハンナラ党の金容甲議員が最近、南朝鮮での政治的混乱を理由に金正日総書記のソウル訪問を無期限延期すべきだと主張しているのもその1つ。彼は与党民主党を「朝鮮労働党の第2中隊」だと非難して物議をかもした人物だが、一連の発言の背景には、次期大統領選挙をにらんだハンナラ党の党略があると思われる。つまり、現政権の和解政策を非難することによって、政局の主導権を握ろうというわけだ。 ちなみにハンナラ党と連立与党の自民連は、民主党が今国会に提出する「国家保安法」の改編案に反対の立場をとっている。 金永南委員長のソウル訪問の目安の1つとなっているのが、保安法問題と見られているので、この問題の処理いかんが、今後の北南共同宣言の履行に大きな影響を及ぼすだろう。 また、南朝鮮における軍の最高統帥者である金大中大統領が共同宣言に署名したにもかかわらず、軍は4日に公表した「2000年国防白書」で、またもや北を「主敵」と規定した事実、朝鮮日報に代表される保守的言論が、巧妙な反北キャンペーンを行っていることなどが憂慮される。 しかし、北南和解は、もはや後戻りできないところまで来ており、こうした守旧勢力の動きは、共同宣言を支持する市民の反対を免れないだろう。(元英哲記者) |