春・夏・秋・冬

 本紙文化欄(5面)に掲載されている「近代朝鮮の開拓者」が年内で終わる。昨年10月から毎週1回のペースで約1年余り連載してきた

▼企業家、知識人、女性ら様々な人物の人間模様を通して時代の概観を語るとともに、歴史と文化を描いてきた。一人一人の人物は、誠に強烈な個性をもった存在であった

▼朝鮮でビナロン合成を成功させ、世界にその名をとどろかせた李升基博士、養蚕学を通じて人民経済に貢献した桂応祥、蝶類学研究で世界的に注目を浴びた石宙明など。筆者(金哲央氏)から送られてきた科学者たちの原稿を読んでいくうちに、あることについて考えてみた

▼1世から若い世代を問わず、在日同胞が抱く劣等感および固定観念があるとすれば、その1つは日本人との対比においてなされる民族の優劣性と成敗論ではないだろうか、と。例えば「古くから侵略を受けてきた朝鮮の歴史に誇れるものがありうるのか」という問い

▼しかし、植民地、被支配の歴史それだけをもって民族の永い歴史を総体的に評し、「失敗」とか「成功」とかのレッテルを貼り付けるのは妥当ではないと思う。ドイツやフランスなどの西欧諸国は、異民族による侵攻・支配を乗り越えながら国家を形成した。中国もまた、しかりである。そしてそれらの国々では、歴史上すぐれた人物を生み、彼らの力によって自国の文化を豊かなものにしてきた

▼1つの民族が成功したというとき何をもって成功といい、失敗したというときは何をもって失敗というかについて、真しに考えていかなければならないだろう。(舜)

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