取材ノート
広島で出会ったR弁護士
8年前の夏、広島で行われた原水爆禁止世界大会を取材した折、ソウル在住のR弁護士に出会った。R弁護士は、南で人権問題を担当していて、非転向長期囚や政治犯の問題などを広く扱っていた。
8年前といえば今よりも「国家保安法」が大手を振っていた時期。同大会には、共和国から代表が参加するとあって、「色々な目」が光っていた。だが、R弁護士は、そんなことも構わず「捕らえられたら自分で自分を弁護する」と、共和国代表と行動を共にしていた筆者に親しげに言葉をかけてきた。 その頃、板門店では、北南、海外同胞が一堂に会する汎民族大会が開かれていた。 誰が提案したわけでもないが、日本にいるわれわれもそれに呼応しようと、原水禁大会に参加していた北南代表、そして在日同胞の代表として筆者を含めた10人ほどは、同胞の小さな飲食店で、「広島版汎民族大会」を開くことにした。 その夜は時の過ぎるのも忘れ、歌ったり、詩を朗読したり、言葉の通じる者同士、話に夢中になった。同じ同胞がどこかで出会っても、生まれた場所や所属に関係なく、誰はばかる事なく思い切り話ができるようになるべきだと心から思った。 最近、ある雑誌を通してR弁護士の寄稿を何年ぶりに読んだ。 激動する朝鮮半島情勢、そのなかで非転向長期囚の帰還や、「国家保安法」の廃止運動などについて率直に語っていた。そして最後に、多くの辛酸をなめてきた8000万同胞が、統一して1つになることで、民族の未来は明るくなると結んでいた。 21世紀の始まり、2001年は民族の悲願、統一元年にしたい。(金美嶺記者) |