日本軍性奴隷制裁く国際法
日本政府の主張を却下

国家責任を認定

意思決定の最高責任者 昭和天皇に有罪判決


昭和天皇に有罪判決を下した法廷(12日)


 8日から東京で開かれていた日本軍性奴隷(「従軍慰安婦」)制を裁く「女性国際戦犯法廷」は最終日の12日(日本青年館)、被害者の請求を全面的に認め、昭和天皇裕仁に有罪判決を下すとともに、国際法を違反した日本政府の国家責任も認定した。かつてない大規模で組織的な日本の性奴隷犯罪が、市民の手によって、初めて裁かれたのだ。(関連記事 特集欄)

戦争犯罪と断罪

 「昭和天皇は人道に対する罪を犯した。有罪」「日本国家は有罪」。

 壇上で裁判官が判決を読み上げるや、かたずを呑んで判決を待ち受けていた各国の被害者が一斉に立ち上がり、裁判官に歓声と拍手を送った。続けて観衆も総立ちになり、拍手は鳴り止まなかった。

 同法廷では、各国検事団と首席検事が、昭和天皇や軍人25人を性奴隷犯罪を犯したとして起訴。国際法違反の有無が審理されていた。

 旧ユーゴ国際戦犯法廷の裁判長を務めたマクドナルド氏(米国)をはじめ、四人の裁判官が判決文(文末参照)を読み上げ、昭和天皇は当時「『独特の権利』を行使し、『究極の意思決定の権限者』だった」と、天皇が日本軍性奴隷制度の最高責任者の地位にいたことを認定した。「天皇は、南京大強かんの時点から強かんの問題について知っていたか、または知るべきであった。強かんを止めさせる手段を講じるべきであった」(判決文)。

 また、「慰安婦」制度を性奴隷、戦争犯罪と認定しながら「慰安婦」制度は奴隷制でなく、戦争犯罪でもなかったとする日本政府の主張を却下。「性奴隷制は奴隷化の罪の、とくに残虐極まる、侵略的で破壊的な形態」との判断を示した。

 日本政府の国家責任についても判決は、「人道に対する罪を犯した国家が、責任を回避することは許されない」としながら、国際法を違反した法的責任が生じると指摘した。そして日本政府に@謝罪A補償B情報公開C「慰安婦」制度の調査D博物館設立など、被害者の尊厳回復のための処置E歴史教育の強化F性の平等性の確立――などの実行を勧告した。

 この日、発表された判決は「要旨」。各国が起訴した20余の軍人に対する判決など、最終的なものは、来年3月8日(国際女性デー)に発表される。判決文は、国連人権委員会、各国の外務大臣と日本大使館などに送付される。

デモ行進も

 「今日、ついに昭和天皇の有罪が認められました。国家が正義を否定する時、市民がその正義を取り戻せることが証明されたのです」。判決後、松井やより・国際実行委員会共同代表は、壇上に集まった各国の被害者と総立ちになった聴衆を前に「勝利」を宣言した。

 「被害者たちは、五十五年以上もかけてようやくこの日にたどりつけた。心から充実感を感じる」。同共同代表のインダイ・サホール氏(フィリピン)と尹貞玉・韓国挺身隊問題対策協議会共同代表も、想像を絶する体験を世に告発した、被害者の勇気と支援者の労苦を称えた。

 法廷閉会後、参加者たちは会場の日本青年館から渋谷までデモ行進した。

 4日間の法廷には延べ4800人が参加した。とくに海外メディアは95社から200人が参加する関心ぶりで、日本のメディアとは対照的な動きを見せた。

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 法廷は、20万人とも言われる女性たちを、「慰安婦」制度に投入したことにより、性奴隷化について天皇裕仁に責任があると認める。強かんと性奴隷制からなる人道に対する罪を犯した責任を負うものとして、天皇に有罪の判決を下す。また、慰安婦システムを確立し、維持したことによって日本政府が国家責任を負うと裁定する。

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