みんなの健康Q&A/
歯科(3) 歯周病
歯の周囲の組織破壊、成人の80%以上がかかる
プラークコントロール、定期的なメンテナンスを
Q 歯周病とは、またその原因は。
A むし歯は歯そのものの病気ですが、歯周病(歯槽膿漏)は歯肉や骨など歯の周囲の組織が破壊される病気で、成人の80%以上の人が程度の差こそあれ、かかっているといわれています。
歯周病の直接的な原因は、むし歯と同様にプラーク(歯垢)の中の細菌です。歯と歯肉の接合部にプラークが付着し、その清掃が不良だと炎症は進行し、歯を支える骨が吸収され痛みを伴う腫れや動揺が起こりますが、困ったことに痛みが出るこの時期にやっと自覚する人が多いようです。また歯並びが悪かったり金属冠が合っていなかったりすると、ハブラシによるプラーク除去が困難になり歯周病が発生しやすくなります。
しかし歯周病はプラークなど口の中の状況だけでなく食生活、生活環境、全身の健康状態などが複雑にかかわって発生、進行していきます。
Q 個人でも状態が分かりますか。
A 歯肉の色や形は個人差があり、専門的な診断が必要ですが、健康な歯肉は薄いピンク色でひきしまって弾力があり、歯と歯の間にしっかり入りこんでおり、出血はしません。しかし炎症のある歯肉は、赤っぽく赤紫色で、腫れてブヨブヨしており、まるく厚みをもった膨らんだ状態で、ハミガキ程度の軽い刺激でも出血します。鏡でよく観察しながら参考にすると良いでしょう。
また歯周病の場合、多くは口臭を伴いますので、周囲の人に指摘された時も1つのきっかけになると思います。
Q 歯周病はどのように進行しますか。
A 歯周病は歯肉に原発して歯槽骨を破壊していく病気です。
また治療はプラークや歯石を取り除き、炎症を起こしている歯肉を除去したりして進行を止めることが目的になるので、1度破壊された歯槽骨は元には戻りません。
Q 歯周病の対策は。
A プラークコントロール(歯と歯肉の間に付着する歯垢の除去)が重要です。プラークコントロールには、自分で行うブラッシングなどのセルフコントロールと、歯科医師や歯科衛生士が行うプロフェッショナルコントロールがあり、どちらか一方が欠けても治療は成立しません。
超音波や金属製の器具を用いて、プラークや歯石を除去するスケーリングや歯面をツルツルにするルートプレーニングなどの処置が必要ですが、重症の場合には歯周の外科手術を行うこともあります。またむし歯の治療や合わなくなった金属冠をやり直すこともプラークコントロールをしやすくするうえで重要ですし、糖尿病や血液疾患など全身疾患の管理も重要です。
Q 歯医者さんで定期的に診てもらうことは。
A 定期健診は重要です。歯周病で口の中の細菌を完全になくすことはできません。そのため再発しやすく、軽度の歯周病では自覚症状が少なく、多くの場合かなり進行してから異常に気付きます。
予防や再発防止には、定期的に歯科医院で健診やプラークコントロールを受け、自分の歯をメンテナンスすることが大切です(おわり 京都市山科区音羽野田町7―5、TEL 075・581・6480)。