平壌レポート/

21世紀の科学技術先進国へ


世界見据える新時代

 コンピュータ技術の飛躍的な発展がもたらす世界的な変革の波。それは、世界各国の若い世代同様、朝鮮の若い世代も大きな関心を持つテーマだ。とくに、経済復興に向けてまい進する朝鮮では、科学重視の風潮が強まっている。もちろん、人材育成にも力が入れられている。

 キム・スンギ君(19)とチェ・ミョンフン君(19)は金策工業総合大学の3年生。昨年、全国大学生プログラムコンテストでそれぞれ1位と2位に輝いた、自他共に認めるライバル同士だ。

 「現代では、すべての経済活動がコンピューターと密接な関係を持っている。現代人にとってその知識と技術は必須」と語るキム君の父親は作家。息子も文学の道を進むことを期待していた父親は当初、彼の選択に難色を示していたという。

 しかし彼は、「科学の力で社会主義を建設する夢」を実現したかった。21世紀の科学技術先進国を夢見るこのような若者の意欲が、社会の空気を引っ張っていると言っても過言ではない。「反対していた父親も最近は、仕事でコンピューターを使うから教えてくれないかと頼んでくるようになった」。

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 専攻している学生だから当然なのかもしれないが、彼らの間を行き交う会話にちりばめられたコンピューター関連用語は、ここが平壌かと耳を疑うほどにすべて英語だ。「不本意だが仕方ない。今は米国人が作ったシステムに従ってコンピューターを使うしかないけど、今に見ていろと思っている」とチェ君。

 金策工業大は50年代末にコンピューターを独自開発している。さらに70年代には「白頭山102」と呼ばれるマイクロコンピューターを生み出した。当時、マイコン先進国だった米国などの製品と比較しても遜色のない出来だったという。「金策工業大の誇り」である「102」の名は、今も学生の間で語り継がれている。

 チェ君は、自分たち朝鮮の新世代が今後、世界的な技術競争に十分参加できるという自信を持っている。その目標は高い。

 「朝鮮民族は古くから高い水準の科学技術を持つ、誇り高い民族だ。目標はビル・ゲイツではなく、世界最初の鉄甲船を作った李舜臣将軍。大学を卒業したら、人工知能の研究に本格的に取り組みたい」                                      (金志永記者)