ワシントンで高位級会談開催
朝米が基本合意
平和協定問題論議か
「テロ支援国」削除も
報道を総合すると、先月、ベルリンで開かれた朝米会談で双方は、ワシントン高位級会談の開催で基本的に合意し、その予備会談を2月末、ニューヨークで開くことにした。ワシントン高位級会談は、早ければ3月末か4月上旬にも開かれると言われている。会談が成功裏に行われれば朝米双方は、これまでの敵対関係に終止符を打ち、新たな互恵・平等関係へと進むことを宣言すると思われる。しかし、一方で難問が山積しているのも事実で、ワシントン会談の開催は、ニューヨーク会談の結果いかんにかかっていると言えよう。
2月末にNYで予備会談
朝鮮戦争の完全終結
本紙がたびたび指摘しているように、朝鮮がワシントンに派遣する高位級代表団とは、金桂寛副相以上の地位にある人物を指し、それは大臣以上のクラスを意味する。そして会談では当然、朝米関係を画期的に改善する問題が協議されるだろう。
注目されるのは、米国務省の発表とほぼ同時に米国のAP通信が「朝鮮戦争を公式に終わらせるために現在、進行中の外交努力と朝鮮のミサイル開発およびテロリズム問題などが3月(ワシントン)会談の議題になると見られる」と報じている点だ。
また1月31日の北京放送は「(朝鮮高位級代表団のワシントン訪問と関連した合意は)朝鮮半島の緊張情勢に最終的な緩和を望む人々にとって、嬉しいニュースだ」と伝え、ロシアの観測筋も同日、「朝米高位級会談では、朝鮮戦争の公式終戦方案と朝鮮のミサイル開発とテロ支援問題が論議されるとみられる」と明らかにしている。
表現は違うが、いずれも朝鮮戦争を公式に終結させる問題をワシントン高位級会談で論議すると観測しているのだ。
米軍撤退にも波及
朝鮮戦争の公式終結とは、現在の停戦協定を破棄して新たに平和協定などを締結することを意味する。
この問題について米国は、当事者でないと主張(協定に署名したのは国連軍司令官だし、事実上の当事者は南朝鮮)してきた。
また朝米間に平和協定が締結されると、駐南朝鮮米軍の地位や、米・日・南朝鮮の三角軍事同盟などの問題も当然のこととして浮上する。米国が朝鮮を経済封鎖するために実施している経済制裁もしかりである。朝鮮が一貫して米国に解決を要求してきた問題だ。
一方、ミサイル問題について朝鮮側は、輸出問題に関しては補償があれば考慮するが、開発、配備に関しては国家の自衛権の問題なので譲歩できないと強調している。しかし、解釈によっては、米国が朝鮮敵視政策を取り、南朝鮮に数万人の軍隊と大量破壊兵器を配備している限り、自衛権は放棄できないが、米国がそれらを改めるならば、ミサイル開発を考慮する余地があるとも読みとれる。
したがって双方の懸案問題は、十分に話し合う余地があり、ワシントン高位級会談では、平和協定問題が論議される可能性が高いと言える。
2月末がリミット
そこで重要になってくるのが2月末のニューヨーク会談。ワシントン高位級会談に関して以外に、双方の懸案問題――朝鮮の「テロ支援国リスト」からの削除と朝鮮のミサイル発射実験の恒久的な中止などが協議され、その進展具合がワシントン会談の行方を左右するだろう。
米国が朝鮮に対して実施している経済制裁は、「敵国通商法」と「テロ支援国規定」によって実施されている。このうち「敵国通商法」による制裁措置は昨年9月、クリントン大統領が解除すると発表し、残る「テロ支援国規定」を米国がニューヨーク会談で解除する意思を示すのかどうかが焦点だ。
「テロ支援国規定」による制裁を解除するためには、まず米政府が朝鮮を「テロ支援国リスト」から削除しなければならない。米大統領は「テロ支援国指定解除」発効希望日の45日前までに、該当国家が最近6ヵ月間、国際テロを支援しておらず、今後も支援しないと保障していることを議会に証明すれば、リストから削除することができる。
米国務省は毎年、4月か5月に発表する年例報告書で、「テロ支援国リスト」を公表しているので、そこから朝鮮を削除するためには、少なくともその1ヵ月半前にクリントン大統領が議会に働きかけなければならない。
2月末のニューヨーク会談というのは、今年、米国が朝鮮を「テロ支援国リスト」から削除するぎりぎりのタイムリミットというわけだ。
(元英哲記者)