BOOK−新刊から(当選者の発表)


新刊紹介

 断絶の世紀 証言の時代 戦争の記憶をめぐる対話(徐京植、高橋哲哉)

 過ぎゆこうとする20世紀は、2度の世界大戦をはじめとする大量虐殺と政治暴力の時代だった。世界各地には暴力の痕跡があり、至るところに記憶の場所がある。現在、このような記憶そのものが隠ぺい、否認、わい曲、抹消といった暴力にさらされているなかで、日本国家と否定論者の言説を鋭く批判している。(2000円+税、岩波書店)


 戦後責任論(高橋哲哉著)

 普遍的な応答責任と日本人の1人としての政治責任、戦争の記憶の亡霊性と継承可能性、事実を認めジャッジメント(判断)を下すことの必要性を強調している。

 記憶、証言、責任についての明晰な思索から、台頭するネオナショナリズムの言説を批判し、日本側の真の謝罪と補償のあり方を問い直している。(1800円+税、講談社)


 生きてふたたび(国本衛著)

 日本の植民地支配により発生した同胞ハンセン病者は、非科学的な「らい予防法」によって強制的に隔離され、療養所でも民族差別を受けるなど2重3重の苦しみを味わってきた。しかし、苦汁を強いた日本政府の責任は不問に付されたままだ。昨年、国に謝罪と賠償を求める訴訟を起こした著者が、同胞患者の無念を世に問う。(1800円+税、毎日新聞社)

当選者の発表

 抽選の結果、「光の中に」の当選者は次のとおり(敬称略)。

 兵庫・姫路市の呉世亨、大阪市の姜福順、京都市の成龍和、愛知・豊明市の文光喜、茨城・水戸市の李照順。