こどもの未来考えるフォーラム/13日、広島
評論家でなく当事者として
学校、同胞社会… 打開策ともに考えよう
13日に広島県で、「21世紀の子どもの未来と豊かな同胞社会を考える」テーマで「KOREANニュースステーション in HIROSHIMA」と題する教育フォーラムが開かれる(広島市東区民文化センター、午前10時半から)。民族教育や同胞社会の未来像をともに考えようと、広島県青商会と女性同盟広島県本部が昨秋実行委員会を結成し、準備を進めてきた。当日は30、40代の同胞を中心に200人以上の参加者を見込んでいるが、広島でこのようなフォーラムが開かれるのは初めて。主催者側は「学校が置かれた現実を真しに見つめ、発展のための打開策を考えるきっかけになれば」と話す。
「21世紀作るアボジ・オモニ」
半年間準備し、意見すい上げ
フォーラムは、女性同盟が子供の将来を考える会合を企画したところ、子供の問題なら、「アボジも一緒に」と青商会に共催を呼びかけたのがきっかけ。半年間にかけて約20人の実行委員が準備を進めてきた。
フォーラムのコンセプトは「応援と祭り」。オモニ、アボジらが、学校や同胞社会に対する意見を、「評論家」として論じるのではなく、グラウンドに入って選手として応援し、進んで盛り上げようというもの。すなわち、民族教育権の拡大、財政基盤の強化や生徒数の増加など、同胞社会が直面する問題を解決するため、どうすればいいのかを話しあう。
当日は学父母らを対象に行ったアンケートの調査結果に基づいて、児童心理学者や同胞司法書士ら特別ゲストの提言を受け、会場からも意見を募る。
朝鮮学校の「今」を伝えることも重要視しており、広島朝鮮初中高級学校の全校生を対象に、自分の夢やアボジ、オモニへの要望を聞いたアンケートを実施。その結果も当日発表される。生徒たちの生活ぶりを撮影したビデオも放映される。
中四国地方の同胞640人にアンケート
父母に対するアンケートは、今まで民族教育や同胞社会に関して意見を吸い上げて来られなかった反省を踏まえて行われた。広島初中高の父母全員、日本学校に子供を通わせる同胞、1世同胞らを対象にした。
民族教育を受けてよかったと思うこと、ハンディを感じたこと、日本学校に通った同胞には民族教育のイメージなどを聞いたが、その結果、「朝鮮学校に対して不満に思う点」の回答は、「教育費の負担が重い」(16.9%)、「先生の入れ替わりが早い」(12.3%)、「学生数が少なく、子供同士のコミュニケーションが少なすぎる」(10.6%)などが上位を占めた。その打開策も「民族教育を発展させるためにはどうすればいいのか」という項目を設け、意見を募った。
子供たちのすこやかな成長のためには、家庭と学校の協力が不可欠との観点から、◇家でコミュニケーションをとるのか、◇民族心を育むために、どんな努力をしているのか、なども聞いた。実行委員会に現場の教員が含まれたのは、父母と教員の協力があってこそ、との思いからだ。
アンケートは約640人から集計されたが、広島初中高父母らの回収率は100%に近い。フォーラムは広島で行われるが、実行委員会は広島初中高の学区である中四国地方の同胞の参加も強く要望している。(問い合わせは実行委員会 TEL082・263・5311)
(張慧純記者)
実行委員長からのメッセージ |
漠然な理想より具体的な行動を/オモニ代表 金英淑
昨年、全国的なオモニ大会があり、広島の参加者の中で、広島でも同様な会合をもてれば、という要望が出されていた。
民族教育を通じて、世界に通じる民族性や豊かな人間性を育みたいと願っているが、課題が山積しているのが現状だ。
シンポでは、子供たちの未来のため、私たちに何ができるのかについて、きたんのない意見を交わしたい。何よりも、学校や同胞社会の発展のために具体的に何ができるのか、すべきなのかを1人1人がつかみ取って欲しい。半年間、準備に携わってきたが、考えれば考えるほど、「実践」のないことが問題だと痛感した。漠然と理想を語るのではなく、具体的な実行策が急務だ。
シンポが終わった後、次に集まる時は、一歩を踏み出す話し合いをみんなとしたい。 (県女性同盟部長、会社員、37歳)
こどもの 今 に興味を持って/アボジ代表
李鎭琥
時代がめまぐるしく変わる中、同胞社会の未来を担う30、40代も変わらなければ、と思う。
今回のシンポは、同胞が集まる場としては「新しい形」を模索したつもりだ。
ニュース形式、同胞企業のCM作成、ビデオにまとめた朝鮮学校生徒の「今」…。変わろうとする私たちの「姿」を、同胞たちに幅広くアピールしたい。
最後に1世のメッセージが紹介されるが、自分たちの背中が子供にどう映っているのか、何のために朝鮮学校に行かせ、朝鮮人として育てようとしているのかを再認識するきっかけになれば、と思う。
家庭ではオモニだけが知っていて、アボジが知らないことがたくさんあるのではないか。子供がどう育っているのか、アボジたちには、興味を持つことからはじめてほしい。
(県青商会会長、会社役員、40歳)