春夏秋冬


 南朝鮮の雑誌、月刊「マル」2月号に、南朝鮮軍警が39人の政治犯を処刑する写真が掲載されている。時は1950年4月14日、場所はソウルから北方10キロ

▼本紙1月28日号(1面)ですでに紹介したが、その生々しさはいうに及ばず、政治犯処刑が朝鮮戦争勃発以降に行われたという、つい最近の指摘をさらに掘り下げ、それ以前にさかのぼる事実を明るみにした点において貴重な資料といえる

▼70年代に太倫基(弁護士)が李承晩時代の様々な虐殺、謀略の真相を1冊にまとめ、日本でも紹介されたが、冷戦という枠組の中でこれらの蛮行についてはほとんど調査、追及作業が行われることはなかった。今後、どれほどの事実が明かされるのか

▼「日韓新時代」の文化交流の一環として、鳴り物入りで現在、公開されている映画「シュリ」。分断をテーマとして設定しているが、一言でいって、なぜ「評価」されるのか、皆目理解ができない。いや、正直な感情をぶつけるのなら、全編を通じて上記の政治犯の処刑場面を「おもしろおかしく」見せられているようで、憤慨に絶えなかった

▼映画は娯楽、といってしまえばそれで終わりだが、南北朝鮮の分断という現実は、そんな範囲で簡単にとらえられないほど悲しく、重く、深いものだ

▼ソウルでも大ヒットしたという。在日(筆者)とソウルの距離的、時間的、歴史的ギャップなのだろうか。それにしても、このようなテーマを「娯楽化」して見せてしまう南朝鮮の現実、「在日は棄民」と吐き捨てた、かつての外務部長官の言葉と重なってくる。  (彦)