ウリ民族の風習、伝統/遊戯/キョック(撃毬)とタグ(打毬)
杖でゴールに向けて球を入れる
撃毬(キョック)は、馬に乗って毬(たま)を杖(つえ)で激しく打ちあうノリ(遊び)で、いわば馬に乗って競技するホッケーのようなものだ。
似たものにイギリスの貴族の遊びであるポロがある。
馬を出発させる位置は指定されており、そこから50歩(約60メートル)ほど前に毬を置く。さらに200歩(約240メートル)ほど離れてクムン(毬門=毬を入れる棚のことで、今でいうゴールのこと)がある。クムンの幅は、5歩(約7.5メートル)ほどである。
相手のクムンに早く毬を入れたチームが勝ちとなるこの競技は、すべての選手が右手に毬杖(クヂャン)を持ち、それを馬の首の所にぴたっとくっつけて、一定の距離の所に置かれている毬をめがけて馬を走らせる。
毬は、クヂャンのスプーン状になった頭の部分で、斜めにすくい、クヂャンのスプーンの背側で、2〜3回転しながら進む。
最後に、馬の胸のあたりにクヂャンを当てながら、クムンに入れる準備を整え、それが終われば毬を転がしながらクヂャンを振りあげ、その勢いで毬をクムンに入れれば勝ちとなる。
これと若干似ている競技にタグ(打毬)がある。子供に限らず大人も昔から楽しんだ娯楽で、杖のようなもので球を打ち、定められた穴に入れる競技だ。
キョックのように激しい運動ではないが、技巧と集中力がいる遊びで、今でいうゴルフに似ている。
イギリスで生まれたゴルフは14、5世紀頃から発達していったが、キョックといい、おおむね時期同じくして似たようなスポーツが朝鮮半島で生まれ、普及していったことは興味深い。
キョックもタグも高麗時代から、官民問わず盛んに行われた。