ウリ民族の風習、伝統/遊戯
クネティギ(ブランコ)
端午節に女性が高く舞う
クネティギノリ(鞦韆〔しゅうせん〕ブランコ遊び)は、古来から端午節を中心に、秋夕や正月などのいろんな名節の時に行われてきた。元来は、女性だけのノリであったが、近年は、青少年たちも機会あるごとに参加するようになった。
男子のシルム(相撲)と女性のクネは、好時節の遊戯中最も盛んなノリとして、今でも庶民たちに愛されている。
クネの綱は、丈夫な縄で作る。それを大きな欅(けやき)や老松などにしばりつける。大きな木のない広場では、太い柱を2本立てて横柱を渡し、麻縄(あさなわ)でブランコを設置する。
ブランコは、普通は端午節の1ヵ月前から掛けられ、その間は誰もが自由に乗って遊ぶことができる。端午節には、競技大会を開き、上がる高さで勝負を決める。クネが前に出ていく位置に竿(さお)を立てて、その上に鈴をつるしておき、飛ぶ人の足が鈴を蹴って鳴らすようにし、その音の鳴る回数で勝者を決めたりもした。高く飛ぶためには力と足を揺り動かす技術が必要である。
飛ぶのは、1人の場合の他、2人で向かい合っても飛ぶ。さわやかな空のもとで、美しい民族衣装に着飾った女性が、チマのすそをなびかせながら空中に高く舞う姿は、一幅の鮮やかな絵画にたとえることが出来るだろう。
地方によっては、クネに乗ると蚊(か)や蠅(はえ)に刺されず、暑気にあたらないという俗言があった。
クネは、高麗時代から伝えられているノリで、もともと北方民族が「寒食の日(2、3月頃に行う祭礼)」に、心身鍛練のために行ったのが始まりだといわれている。主に宮中で行われていたものが、李朝時代以降は、民衆の間に広く普及した。平壌や開城地方のクネティギはとくに有名である。