春夏秋冬


 昨年12月に村山富市元首相を団長とする超党派代表団が訪朝して、2ヵ月あまりが過ぎた。早ければ今年早々にも国交正常化のための政府間会談が再開されると言われていたが、その間、朝・日外務当局の実務会談と赤十字会談とが、それぞれ1回ずつ開かれただけだ

▼本会談の見通しが立っていないからと言って、朝・日関係が冷え込んでいると判断するのは、早計だろう。金丸信・自民党元副総裁(91年9月)をはじめ、渡辺美智雄・副総理兼外相(95年3月)、森喜朗・自民党総務会長(当時、97年11月)といった与党の大物が訪朝して日朝関係を打開しようとしたにもかかわらず、所期の目的を達成できなかったことから、今回は慎重に事を運ぼうとしているらしい

▼「外交は内政の延長」と言われているが、それに照らしてみると、日本の政情が少し気にかかる。憲政史上初めてと言われる与党の単独国会開催、小渕首相秘書のNTTドコモ株取得問題と、外交に力を向けられるような内政状態にないように思われるのだが

▼一方、朝鮮はG7では初めてイタリアと国交を樹立した。フィリピン、オーストラリア、フランスなどとの関係も近い内に改善されると言われているし、今月9日には、ロシアと新たに友好善隣協力条約を調印した。これらの外交成果は、内政の充実によってもたらされたと言えよう

▼国の力を測るのは、経済だけではない。政治、経済、文化、国防のすべての総合が国威となって現れ、そのもっとも重要なのが政治であろう。そして朝鮮が政治大国であることは、世界が一致して認めている。 (元)