春夏秋冬


 朝鮮と日本、中国、ベトナムの食文化に共通し、食生活に欠かせないもの、それは箸(はし)を使うことだ。ただ朝鮮ではスッカラ、中国では蓮華(れんげ)などのスプーンも使うが、日本は箸だけである。それだけに日本には箸の使い方に独特の礼儀作法がある

▼まず箸の使い方だが、2本の両方を動かすのではなく、下の箸をしっかり固定し、上の箸を動かす。またあまり箸を汚さずに食べることが基本で、箸元1.5〜3センチのところを使う。昔から「箸先五分、長くて一寸」といわれている

▼箸を使う場合、「嫌い箸」というタブーも多い。食器を箸で手前に引き寄せる「寄せ箸」、食事の途中で箸を食器の上に渡しておく「渡し箸」(これは「もういりません」という意味)、食事中に箸で人を指す「指し箸」、箸を下に置かず、口にくわえたままで手に器を持つ「くわえ箸」、箸ではさみ上げた料理を別の箸で取ったり、箸と箸で料理のやり取りをする「箸渡し」、1つの食器の上で、2人一緒に同じ料理をはさむ「二人箸」、ご飯の上に箸を突き刺す「立て箸」(仏箸ともいわれ、死者の枕元に供える枕ご飯のときにのみ使う)などだ

▼さて、あなたはどれだけ知っていましたか。同胞の活動範囲は広く、日本の人と食事をする機会も日常的になっている。そんな時、これらのタブーを知ったうえで、マナーを失しないように気をつけ、楽しい食事をしたいものだ

▼ところで、朝鮮では元来、箸(チョッカラ)とスッカラを使い分ける。ご飯やク(スープ)はスッカラで食べ、おかずは箸で食べるのが習慣である。 (喜)