生活時間、オモニの1日
子どもの「今」のびのびと
まもなく6人目が誕生、「朱明さん(31)
ゆったりと成長を見守って
東京都足立区・梅田に住む姜相勲(37)、「朱美さん(31)夫妻はいまどき珍しい子福者。長男・裕成(7)、長女・仁淑(5)、次女・賢淑(3)、次男、三男の裕光と裕吉は1歳の双子。ここに3月になれば赤ちゃんが生まれ
8人家族になる。
子供が大好きと言う夫妻とあって、家庭の中は春風のように温かい。何ごともゆったりと、子供の成長をじっくり見て、待つという姿勢。「双子がよくおもちゃの取り合いをして喧嘩をしますけど、本当に面白いです。負けた方がヌナ(姉)に言いつけて、悔し泣きしています」。喧嘩の裁きは兄妹の役目で、親は遠くから見守っているだけですと微笑む「さん。
とは言え、物理的に手がかかる幼子5人を抱え、身重のオモニの1日は半端じゃない。
朝6時30分に起床して朝鮮学校に通う裕光君の朝食と弁当の支度。7時に起こして、7時30分には学校へ送り出す。と同時に保育園組の4人を起こして、朝食、着替え、園の支度と目まぐるしいひとときが続く。
とくに月曜日は、保育園で使う布団のシーツ4組を持参する日なので大荷物となる。8時50分、車に4人と荷物を乗せて登園。9時20分に帰宅して、いよいよ「家事戦闘の開始」。
洗濯は午前中、5キロ用の洗濯機を3回まわし、干す。やっと落ち着く頃は、昼12時を回っている。居酒屋を営む夫を起こして昼食。3時前には長男が下校してくる。宿題を見ている内に4時になる。保育園組を迎えに行きながら、途中で買い物。今、子供たちに1番人気のメニューは「カレーライス、ハンバーグ、スパゲティー」だと言う。 夕方6時30分には夕食。アボジは店に出て家にはいないが、5人の子供たちとの賑やかな食事風景は、朱美さんの1日で1番心和むひとときでもある。お風呂は8時30分頃から、子供たちはみんな一緒に入る。「大騒ぎですが、大きい子が小さい子の面倒をよく見てくれるので安心です。でもまだ小さいので、洗髪したり、体を洗うのはオモニの役目。全部終わるのに1時間半はかかるので、もうクタクタです」
就寝は夜10時頃。寝る場所も決まっている。オモニの右隣が双子、左隣が賢淑ちゃん。赤ちゃんが生まれるとこの位置に変化が生まれるので、「また、一波乱ありそうです」と朱美さん。
子供たちに添寝して仮眠をとった後、夜12時に起きて、夫の食事の支度をする。店から夜1時頃帰宅する夫の遅い夕餉が、夫妻のゆったりした団欒の時間。「その日の出来事や、子供達のことを、この時間に話します。夫は忙しいですが、子煩悩な人なので、時間が許す限り子供たちとよく遊んでくれます。水曜日の定休日は総聯梅田分会の副分会長、足立支部の商工会理事としての活動があるので、なかなか時間がとれませんが…」
子供時代というのは、2度と来ない輝く日々である。今の子たちはやがて来ると聞かされる「幸せ」の日の準備に明け暮れて、子供時代を存分に楽しむことができないでいる。しかし、姜さん夫妻は「子供たちの今をのびのびと過ごさせたい」と願い、ゆったりした自然体で子供たちと向き合っている。「さんは「6人の子みんなが朝鮮学校に通う日が待ち遠しい」と話す。 (粉)
出版社勤務、朴真樹さん(30)
イライラとピリピリにさようなら
2歳半の長男と8ヵ月の長女を保育園に預けながら都内の出版社で働く朴真樹さん(30)。子育て真っ盛りのはつらつとした女性だ。朝から夜まで、仕事、育児、家事に追われる生活を送っている。
朱美さんとは、夫同士が兄弟。義理の姉妹(トンソ)の関係だ。家も近くで、何かと相談でき、幸せだと語る。
「まだ、子供が小さいので風邪から中耳炎になったりして、仕事を休まざるを得なかったりする。1人が治るともう1人が麻疹になったり…。そうするとついイライラしてしまいます。そういう悩みをヒョンニム(義姉)に聞いてもらうと、『人間だからいいんじゃない』と言ってくれます。その一言でホッとします」と朴さん。子供たちの喧嘩も楽しくて仕方ないと言う「さんならではのゆったりした受け止め方である。
子育てにはイライラも、ピリピリもつきもの。ただそれをいつまでも引きずらず、うまく切り替えることがストレスの解消に繋がる。幼い子を持つオモニは、そうした精神的なゆとりをもたらしてくれる身近な存在を誰しも欲している。朴さんにとっては、「さんが子育ての頼もしい味方となっている。