それぞれの四季
第30期卒業生に/李政愛
卒業式まであと20日あまり。早いものだ。体育の時間、外で野球に興じている男子4人、女子11人の生徒たちは、もうすぐ中級部第30期卒業生になる。
私は30年前、中級部1期生の担任だった。そう言えば彼らは、この運動場の造成中、水捌(みずはけ)が良くなるようにと、掘られた暗渠に何度も石を運んだっけ。父母たちが運動場のぐるりに苗木を植えてくれた。それが今は、見上げるような大木になった。夏には、濃い緑の樹木にスッポリ囲まれた運動場を、雲の影が走り抜ける。映画のひとこまのようだ。
子供たちの歓声が上がる。この歓声を支えてきたたくさんの人たち。私は、その人たちの思いを生徒たちにもっと伝えられたはずだ。あれもこれも中途半端だったような気がしてならない。
しかし、我がクラスの生徒たちにはエネルギーがある。この1年、自分たちで何度もウリマルの大切さを話し合った。そのためにケンカもした。友達の進路のことで、次の日の修学旅行の日程も考えず徹夜で話をした。どの学年よりも沢山、各種のコンクールにチャレンジし、敗れて泣いたり笑ったりした。彼らは色々な物ごとに意味を見つけ、しらけていない。このエネルギーこそが宝だ。今日は負けてめげることがあっても、きっと目標に近づいて行くだろう。
一緒に続けてきた朝の読書で拾った文。「飛ぶことができるのは、心の底からそうしたいと願った者が全力で挑戦したときだけだ」。全力で挑戦し、頼もしい朝鮮青年になれ。(西東京朝鮮第2初中・教員)