パチンコ、パチスロ 産業フェア2000/講演から
「業界とIT」主要テーマに


規制緩和不正対策/先行きなお不透明

 新型台や周辺機器が展示された「パチンコ・パチスロ産業フェア2000」(2月23〜24日、幕張メッセ)では、新台開発動向や、業界と情報技術(IT)革命との関わりなど、気になる問題についてシンポジウムや講演が行われた。内容をかいつまんで紹介する。



 パチンコ台の開発動向について講演した日本遊技機工業組合の松本一男・理事事務局長は、不正行為へのセキュリティー対策で焦点になっている新型チップ搭載機について、「秋以降、年内に供給できる」と話した。

 新型チップは、裏ロム不正に対抗するもので、それぞれが固有のIDを持ち、外部から通信で真贋が確認できる。また、売上や粗利などの経営情報も発信できるとされる。

 ホール側にとって問題なのは、導入・運用コストがどの位かかり、情報の管理をどうするかだ。しかし松本氏の話は「組合は機械を提供するだけ。あとはホール側で考えて」と、肝心なことには触れず、いささか歯切れが悪かった。廃棄台のリサイクルについても、材料の種類を再生しやすいものに絞り込む研究や、リサイクル業者指定の説明はあったが、いつまでにどの程度の進展を目指すかははっきりさせなかった。

 懸案事項の先行きがなお不透明なことで、業界の再活性化に向けて中長期的な戦略を練りたい経営者にとっては、やりにくい状況が続きそうだ。

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 IT革命とはあらゆる産業が無縁ではいられないと言われるが、今フェアでも「遊技業界とIT」が真剣に論じられた。

 エース総合研究所の平野宏・代表取締役会長は「IT革命で顧客の生活環境は激変している。例えばインターネットで株取り引きを行うデイトレードより手軽になれば、パチンコの最大の敵になるかも」と指摘。ホール大手ピーアークの庄司正英社長も、「ネットは企業と消費者をつなぐだけでなく、消費者どうしを仲介するビジネスさえ成立させている。われわれも顧客の損益に基づいた商売を目指すべき」と強調した。

 実は、遊技業界は家電に次いでICチップの消費量が多いと言われ、ITとの縁は浅くない。これまでは機械制御や経営管理に用いられて来たが、今後は顧客とのつながりを強めるうえで重要さを増すと思われる。

 例えば、急速に普及するiモードを利用する。「稼働率を上げたい時間帯に、顧客の携帯電話に『いま来店したら特典あり』とのメールを送ればいい」(平野氏)。

 また、記憶容量の大きいICカードなどを導入して得意客の勝ち負けを把握できれば、庄司氏の言う「顧客の損益に基づいた」サービスも具体化する。大容量カードはほかにも様々なデータが入るので、勝った客が店頭のネット端末に挿入し、「マイ景品カウンター」から品物を選ぶこともできそうだ。

 パチンコ店のサービスが多様化して行けば、従来とは違う客層もつかめるかも知れない。 (金賢記者)

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