春夏秋冬
大蒜。朝鮮料理になくてはならない食材である「にんにく」の漢字である。朝鮮語では「マヌル」。ユリ科の多年草で、原産は中近東と言われている。エジプトでは紀元前3000年以前から使用されていた。中国に入ったのは漢時代。張騫が西域から持ち帰ったと言われ、「胡蒜」あるいは「葫」と記された。そして朝鮮、日本に伝わった
▼日本では「記紀」の中にも記述があり、古くから利用されていたようだ。「源氏物語」に出てくる極熱(ごくねち)の草薬はにんにくのことで、薬用に使われていたこともうかがえる。実際、にんにくは本来人間の体に備わっている自然治癒力を高める様々な効果がある
▼そのいくつかを見てみよう。(1)病原菌を殺したり炎症を抑える (2)血行を良くして血管がつまらないようにする (3)胃腸の働きを良くして食欲を増進させる (4)強肝・有害物質の解毒、分解、排泄を増進させる(5)自律神経の働きを正常化し体を温める (6)筋肉の血行を良くし体を温める (7)菌を殺し皮膚の細胞を活性化する (8)ホルモン分泌を促し調整したりする
▼健康ブームも反映してか、日本社会では食材として日常的に盛んに使われている。ギョウザ、焼肉、炒めもの、そして生食。ラーメンにも入れる。先日、百貨店の食品売場で、そのまま飲めるように商品化された「大蒜スープ」が売られていて、多くの人が買い求めていた
▼かつて「朝鮮人はにんにく臭い」と良く言われたが、日本人もこれだけにんにくを食べるようになると、さすがに「臭い」に関しては、朝鮮人を特定して足ざまに言う事は言いにくくなっている。 (喜)