春夏秋冬


 友好議連の結成、食糧の人道支援、そして正常化会談の4月再開見通しなど、関係改善を目指す日本側の動きが顕著である。朝米対話が、当面の目標であるハイレベル(次官)の会談実現へと一歩一歩、進展していることが背景にある

▼ところで、朝・日問題解決の基本が日本の植民地支配清算にあることは明らかだが、いざ謝罪、賠償の論議を始めると日本は財産請求権を持ち出す。「植民地支配したことはその通りだが、その間に日本も投資した。財産も残っている。だからそれらの分を朝鮮側に補償してもらわなければ」という論法だ

▼世界各国を植民地分割した欧米諸国の認識が支配する国際法では、論議の余地がある主張というが、むろんそこからは侵略された側、支配された側の言い分は排除されている。それにしても、なぜ日本社会における戦争責任の意識は稀薄なのか

▼作家の三好徹、半藤一利、法政大学名誉教授の袖井林二郎の3氏は、東京裁判で「天皇」(半藤氏)、そして「731細菌部隊」(袖井氏)が裁かれなかったことが、つまり「天皇が責任をとらないようじゃ、誰もとる必要はないと。…これがこんにちの日本を大いに悪くしています」(袖井氏)と指摘する。その背景に「アメリカの占領政策の都合」(三好氏)があった(「昭和史が面白い」文春文庫)

▼冷戦が激しさを増しつつあった時期、米国は日本を対ソ戦略、反共の防波堤として再建し、731部隊の人体実験データは新型細菌兵器開発に使われた。まだまだ闇の中に葬り去られている事実、しっかりと知る必要がある。 (彦)

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