シニアの強豪、高麗サッカークラブ
これが全盛期の朝鮮サッカー 

勝率8割越える/昨年、3大大会を制覇


自営業者、会社員 平均年齢42歳
来年からは全国大会参加資格も

 白髪混じりや薄くなり始めた頭、そして少し出っ張ったお腹…。でもそんな外見に惑わされてはいけない。グラウンドを縦横無尽に走り回り、果敢にスライディング、華麗なシュート…。高麗サッカークラブ(孔進会長、以下高麗SC)は平均年齢42歳、20年の伝統を持つ在日同胞のシニアチームだ。全盛期の在日朝鮮蹴球団や各地の朝高、朝大で活躍した選手らが名を連ね、昨年は40歳以上を対象とした日本のシニア3大大会を制した。過去2年間(98.99年)の戦績は73勝8敗4分で勝率85.9%を誇る。

古河で念願の初優勝

 高麗SCにとって昨年は特別な年だった。5月、シニアでは日本最大規模の大会とされる「古河市マスターズサッカー大会」第9回大会で、念願の初優勝を遂げたからだ。第1回大会から毎年出場している高麗SCはこれまで準優勝2回(93.95年)をはじめつねに上位につけてきたものの、優勝には手が届かなかった。

 古河大会初優勝の勢いに乗って波崎シニアカップ(10月)、マスターズサッカー御殿場カップ(11月)でも連続優勝し、見事シニア大会3冠を達成した。また所属する東京・北区シニアサッカーリーグでも99年度優勝に輝いた。

 「一丸となってたたかった結果だ」と、梁祥亀副会長(47)は胸を張る。

 念願の古河大会優勝の後は、盛大に祝賀会を催した。メンバーの家族も参加し、喜びを共に分かち合ったという。北区サッカー協会理事長、新宿区サッカー協会会長もお祝いに駆けつけ、サッカーを通じて朝・日友好に一役買っている高麗SCの栄誉を称えた。

草サッカー じゃない

 高麗SCには、関東地方に住む30〜50代の選手ら約40人が所属している。もちろん全員、自営業やサラリーマンなどの本業があるが、「草サッカーと言ってほしくはない」と言い切る。同胞を代表してプレーしているという「プライド」があるからだ。

 「サッカーが好きだからというのが一番だけど、日本の人たちに全盛期の強い『朝鮮人サッカー』を見せてやろうという気持ちが大きい。もちろん、同胞の子供たちにも」(梁さん)

 5日、東京・北区北運動場で開かれた第5回東京都マスターズサッカー選手権(主催=北区サッカー協会、新宿区サッカー協会)に出場した高麗SCは、3試合を6得点、無失点の危なげない試合運びで優勝し、今シーズンも幸先よいスタートを切った。

 金鐘振事務局長(46)は、「とにかく、勝つのが一番の目的。みんなで勝つ、全員サッカーがモットーだ。そして朝鮮人として恥ずかしくないように、つねに紳士的なフェアプレーを心がけている」と力強く語った。

「外国人枠」外す方向

 北区サッカー協会の小倉功理事長は開会式で、来年から日本サッカー協会主催のマスターズ全国大会が行われることになったと発表した。

 それに先立ち今年9月に仙台で全国レベルのプレ大会が予定されている。その予選として6月に開かれる関東大会には東京選抜チームで出場する予定で、この日優勝した高麗SCからも間違いなく4〜5人は選ばれる見込みだ。

 さらに来年の本大会からは、高麗SCとして出場する資格が与えられるのがほぼ確実だという。

 元来、日本サッカー協会の規定では、1チームに6人以上の外国籍選手がいる場合、協会への正式加盟が認められない。都道府県協会への準加盟までしか許されず、地方ブロック大会には上がれない。朝鮮中高級学校の全国選手権出場は特例的措置で、在日朝鮮蹴球団も都リーグから関東リーグへは上がれず、それがチーム非常設化への契機になったという経緯もある。

 しかし、40歳以上のシニアでは一定の条件を設けてこの「外国人枠」を外す方向で議論が進められているという。

 小倉理事長は次のように話してくれた。

 「高麗SCは、関東近辺では一番強いシニアチームだと思う。全国大会でも優勝する可能性が十分ある。彼らは現役時代、強かったのに全国レベルの大会には出られず、制度の壁の前で苦汁を味わった人たちだ。やはり目標がないと張り合いがないだろう。彼らを表舞台に立たせてあげられるかと思うと、私もうれしい」(韓東賢記者、写真は李鉉民記者)

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