日本の中学、高校に通う生徒たち
朝鮮人として生きる姿伝えたい
寒さに負けず周2回練習、コンサートの準備
卒業シーズン。日本の中学、高校に通う在日同胞生徒たちにとってもそれぞれの旅立ちの季節だ。日校在学生たちの集まりである朝鮮学生会では今月末、年間の活動を振り返る意味を込めて、各地でコンサートを開く。学校生活、学生会活動で得た経験や思いなどを集大成したもので、サマースクールと共に年間で最大のイベントとなっている。
「いち、に、さん」。兵庫・尼崎朝鮮初中級学校の舞踊部部室に、ボランティアで練習を指導している兵庫朝鮮歌舞団員の手拍子が響きわたる。それに合わせて、6人の女子中、高生たちが朝鮮舞踊を踊る。
兵庫朝鮮学生会では「クロスロード―進むべき道―」と題して20日、14回目のコンサートを開く。本番を目前に控え、生徒たちは練習に余念がない。2月から週2回欠かさず練習してきた。
練習を取材した9日の寒さは一段と厳しい。時計はすでに夜の7時を回っている。
そんななか、ガスストーブだけで暖をとりながらも、練習に熱中する彼女たちに寒さは無縁のようだ。
「そこは左足から回るんや」。同じ動作を何度も繰り返し、互いに間違っている所を指摘しあう。間違えたトンムは照れ笑い。それを見てみんなも笑う。厳しさのなかにもリラックスしたムードが漂う。
コンサートの題名は学生会のメンバーから公募した。「クロスロード」とつけたのは私立百合学園中1年生の李舞子さんだ。意味は交差点。今、交差点のど真ん中に立つ同胞生徒たちの前には、いくつもの道が広がっている。
それはコリアンとして生きる道かもしれないし、そうでないかもしれない。そんななかで、進むべき道を模索する学生会のトンムたちの心境がこの題名に込められているという。
「学生会に入ってない子らにたくさん見に来てほしい。日本学校に通うトンムたちが集まれる場があって、しかも朝鮮人として堂々と生きていることを伝えたい」
学生会卒業生として、舞踊だけでなく演劇にも出演する李沙代さん(17)はこう話す。 (文聖姫記者)
僕らを応援しに来て/京都、東京でも
京都では「みんなのためのコンサート」と題して26日に開かれる。
日校生だけでなく、青年学校の受講生、土曜児童教室の子供たち、朝青のメンバーら幅広い若者たちが参加する。朝高生徒の特別出演もある。
そのため、主催はみんなのためのコンサート実行委員会となっている。京都市、KBS京都、京都日朝学術文化交流協会など8団体も後援。創作劇、歌と踊りのアンサンブル、舞踊、サムルノリなど演目も多彩だ。
東京では「コリアンハクセン一致団結、ぼくらのやらなきゃ」と題して28日に、創作劇や歌と踊りのアンサンブル公演が行われる。
「9回目を迎える今回の公演は、学生会活動を通じて様々な事にチャレンジしている僕たち日校生の姿を描いたものです。ぜひ僕らを応援しに来て下さい」
こう話す東京学生会会長の全弘恭君(聖学院高校2年)は、多くの人が見に来てくれることを願っている。