ヒットの真相

進むパソコンの低価格化


ネット人気で家庭に浸透
通販などでコスト下げ大手参入、ノートも10万円台


 パソコンの低価格化が進むなか、2つの格安機が市場に新風を巻き起こしている。スタイリッシュなデザインが人気のソニーのデスクトップ機「バイオPCV―J10V5」(実売13万円)と、格安販売最大手ソーテックのノート機「e―note640H」(同12万8000円)である。発売されたばかりだが、専門誌の売上ランキングでは早くも上位に食い込んだ。

 格安機人気の背景には、ビギナーや一般家庭を新たな顧客層に取り入れたい売り手側の思惑と、「もう少し安ければ」という買い手側の心理が合致したことにある。

 双方のつなぎ役は、爆発的に普及するインターネット。10万円を切る「ネット入門機」で中堅メーカーが市場に参入、NECやIBMなど大手も続いた。日本国内での格安機のシェアは昨年4〜6月期で3.5%(データクエスト調べ)。少なく見えるが、同1〜3月期の0・1%から実に35倍増の大躍進である。

 各社のコストダウンのポイントは、▽中央演算装置(CPU)に低価格品を使う△付属ソフトを減らす ▽通販形式で人件費を削減 ▽特定のプロバイダー(ネット接続業者)に加入してもらうことで割引――など様々。コストパフォーマンスは十分で「安かろう、悪かろう」のイメージはない。

 中でも人気なのが前述の2機種だが、売れているのには理由がある。いずれも、これまで割高感が先行していたジャンルだからだ。

 「バイオJ10」の場合は、実売平均20万円以上と割高のソニーブランドで、13万円へと驚異的な値下げが実現したのがポイント。入門機とはいえ、機能もデザインもバイオをしっかり踏襲しており、ビギナーにはうってつけだ。

 「e―note」も同様だ。ノート機の場合、画面に安価なブラウン管を使うデスクトップ機とは異なり、価格の高い液晶を使っていることや、本体の小型化にコストが掛かることから、値下げには限界があった。そこでソーテックは、特定プロバイダー加入が条件の割引制度を導入することで、全体的な価格を抑えた。

 格安機は、価格競争が一段落し、スペックの底上げなど「同価格で機能充実」の路線に移りつつある。今後もパソコン市場の中心であることに変わりはないだろう。   (成)

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