春夏秋冬
さる12日、神奈川県丹沢の大山に登った。都内は雨だったが、小田急・伊勢原駅から大山ケーブル駅のバス停で下りると雪まじりの雨。それが下社に着くと一面真っ白。積もった雪を踏み締めながら関東ふれあいの道を見晴らし台に向かうが風雪が吹き荒れ、冬に逆戻りしたようだった
▼しかし九十九曲りを下って行くと景色は一変し、山麓では植物たちが目覚め、芽を伸ばしすっかり春の様相。日向薬師の梅林では、やわらかな光を浴びて白梅と紅梅が咲き乱れていた。花たちが奏でる春の鼓動が聞こえて来るようだった。街中では決して味わえない、こんな体験が出来るのは春の山の大きな楽しみである
▼ところで今、日本では多くの植物、草花が絶滅の危機に直面している。日本には5300種の植物が生息しているが、すでに29種が絶滅し、約1100種がその瀬戸際にあるという。高山植物だけでなく都市開発、里山文化の衰退のなかで身近な草花も多く含まれている。昔は土だった道のわきがアスファルトで固められ、どこにでもあると思っていた野草たちがなくなっている。秋の七草のひとつ、フジバカマも絶滅危ぐ種に入っている
▼絶滅から種を守るには、植物園に持っていって大切に育てるのではなく、その周りの生息環境を含めて守っていくべきとの主張がある。山とつきあう時、自然のつながりというものをいつも視野の中に入れて行きたいものだ
▼自然界の生命が躍動する季節がやってきた。春を待ちわびていた花が一斉に咲いていき、鳥たちのさえずりも多くなる。生命のエネルギーが伝わってくるようだ。 (喜)