新入生へのアドバイス
【朝鮮大学校】
熱い議論、大歓迎/積極的に生活楽しもう
政治経済学部・鄭俊宣君
最初の頃は、同じ出身校の友だち同士で固まりがちだったが、共通の話題を探して自分から違う輪に入っていき、少しずつ他の友だちとも打ち解けるようになっていった。
朝大の場合、全寮制なので、やはり寮で同室の友だちとはすぐに仲が深まる。一緒に鍋をやったり、自分たちで楽しみを作っていった。楽しく充実した生活を送れるかどうかは、結局は自分の積極性次第だと思う。
1年の夏休みまで、寮は3年生と同室だ。先輩たちは本当によくしてくれ、生活面や勉強、分からないことは何でも教えてくれる。学ぶことが多いので、先輩たちとはできるだけたくさん話した方がいい。
集団生活の中では自分1人の時間、空間の確保に努めがちだが、せっかくの共同生活なのだから、同室の友達といかに有益な時間をともに過ごすか、考えた方がいい。自分をさらけ出して時にはぶつかり合うことで、外では作り得ない濃い人間関係を作ることができる。
また、ただ漫然と過ごしていると教室と寮を往復するだけの生活になりがちなので、積極的に外にも出て、意識的に実社会を知る努力をした方がいいと思う。クラブ活動も勧めたい。学部や寮とはまた違った人とのつながりができるし、勉強や生活にも張りが出る。
共同生活だから、掃除などの当番も多い。生活力、また世の中のルールを身につけるうえでもいい経験だからしっかりやろう。
そして何よりもここは、国や民族、同胞社会…、そんな真面目な話をとことん熱く語り合える場だ。友だちや先輩、後輩とどんどん激論して考えを深め、成長してほしい。
有意義な時間の使い方を/「後輩の特権」利用して
外国語学部・呉成連さん
自分の場合を振り返ると、プライベートな空間、時間を確保できるのだろうか、友達と仲良くやっていけるだろうかと、初めての寮生活にとても不安が大きかった。
でも、寮で同室になった3年の先輩たちが本当の姉のようによくしてくれ、不安は解消された。彼女たちは自分の経験などをたくさん話してくれ、人間関係の大切さや、何にでも積極的に向き合うべきだなど、色々と教えてくれた。3年生に頼れば心配はいらない。
ただ、寮生活は時間の使い方が難しい。自分のペースをつかめず、集団のペースに流されそうになる時もある。集団生活の和を大切にしながらも、自分が強い意思と目標を持って、勉強などやるべきことはきちんとしなければならない。そのめりはりが必要だ。勉強では、何か具体的な目標を持つのがいい。
また朝大生活のいいところを探して、目的意識を持って参加する姿勢が大切だ。固定観念を持たずに、何でもチャレンジしてほしい。もちろん、ルールは守った上でのことだ。
もし、私に妹か弟がいて朝大に入学するとしたら、「最初の頃は後輩の特権をどんどん利用しろ」とアドバイスする。先輩や教員など、どんどん自分から訪ねて行って、人間関係の幅を広げ、そこから学んでほしい。人との付き合いの中で人間性、世界観を育む上で、朝大はとてもいい場だと思う。
東京は政治、社会、文化などすべての中心。地方から出てくる場合は、色々な所に出かけることを勧める。
【日本の大学】
視野を広げ、自信を持とう/留学同参加、たくさんの出会いを
四国学院大・林忠彦君
高級部まで12年間、朝鮮学校に通っていたので、「日本人の友だちができるだろうか、うまく馴染めるだろうか」と、初めての日本社会にかなりの不安があった。
しかしいざ入学してみると、その不安は消えた。一つは、僕が出会った人たちがとても素晴らしい人ばかりだったからだ。みんな僕を朝鮮人として見てくれ、そのうえで僕と付き合い、僕が朝鮮人としてのアイデンティティーをしっかりと確立していくうえで大きな支えになってくれた。こんな関係を築けたのも、自分自身が朝鮮人ということに誇りを持って生活していたからだと思う。
もう一つの理由は、留学同だ。留学同とは全国の日本の大学に通う朝鮮人学生の組織で、僕にとってその存在はとても大きかった。そこには、これまで僕が付き合ったことのない立場の朝鮮人学生がたくさんいて、今まで自分が体験したことのない様々なことを学べ、とても刺激になった。また全国組織だから全国に友だちができた。それも同じ同胞ということで何の気兼ねなく自分のことを話せるので、一生付き合って行ける友だちを得ることができた。
僕からのアドバイスは3つある。
1つ目は、視野を広げて色々なものを見て欲しいということだ。僕も福祉について学ぼうと大学に入ったが、今は福祉以外のことにも興味を持ち、そこから多くのことを学んでいる。自分の目で見て感じたものは必ず自分の力になる。目的意識を持って生活することで、それまで知らなかった色々な世界、色々なものが見えてくるだろうし、そこで学んだものを自分の専門分野に生かしていけばいい。
2つ目は、自分自身に自信を持つこと。これから進んで行く道には多くの困難が立ちはだかることだろう。朝鮮人ということで悩むこともあると思う。でもそういう時こそ自分に自信を持ち、朝鮮人だということに誇りを持ってほしい。僕たちには同胞がいるし、組織もある。なかでも大学生の組織である留学同に参加することで、意識も高まるし、自信もつくだろう。その意味でも気軽に参加してほしい。
3つ目は、多くの人と出会い、話すこと。色々な所に足を運び、そこでの出会いを大切にし、色々な話をしよう。待っているだけではだめ。自分で出会いの機会を作り、どんどんでかけるべきだ。大学生活の中で、人生を左右するくらいのいい出会いをたくさんしてほしい。