ざいにち発コリアン社会

演歌と朝鮮民謡が競演
♪初の友好カラオケ♪


日朝も南北もみな仲良く、まずは裸のつきあいから

 日本でも有数のお茶の産地、京都府宇治市にある健康ランド「京都健康村」家族広場に10日、在日同胞と日本人のお年寄り総勢240人が集まった。初めて開かれた日朝友好カラオケフェスティバル。朝・日関係が改善の兆しを見せるなか、OB同士の友好を深め合おうと、京都府同胞長寿会(長寿会)と全京都労働運動OB会(OB会)が共同で企画した。参加者はひと風呂浴びた後、宴席を囲みながら次々と自慢ののどを披露。「まだまだ若い者には負けられない」とシルバーパワーが爆発した1日だった。

難しい事抜きに

 OB会側が美空ひばりや北島三郎、小林幸子らの演歌で挑んでくれば、長寿会側は「ノドゥルの川辺」など朝鮮民謡で対抗する。友好が目的とは言え、勝負は勝負。舞台に立つ出場者の顔も真剣そのものだ。

 「どきどきしたけど楽しかった。歌は大好き!」と、左京区から来た黄徳喜さん(67)。

 80歳を迎えた今も、現役歌手として活躍する小笠原美都子さんのヒット曲「十三夜」を歌い、3位に入賞したのは、山科から参加した許玉枝さん(63)だ。

 実は小笠原さんはこの日の審査委員長。本人を前に大変緊張したという。「同胞社会も高齢化しているが、こういう場はどんどん設けてほしい。私たちもおおいに楽しみたいから」

 井手町から参加した脇本幸子さん(67)は、「こんなに大勢の前で歌うのは初めてだが、自信がついた。みんなと気楽に話せて過ごせるとてもいい企画ですね」と語っていた。

人間同士のふれあい

 今回のフェスティバルは、地域での朝・日友好を深めることに大きな目的があった。その意味で、政治色を抜きにした集いは、幅広い層が参加できたことから大成功だったと言える。

 長寿会の「恩洙会長は、「今回の集いが朝・日国交正常化の動きに少しでも役立てれば。これからは京都の地の利を生かして、文化人たちも網羅する幅広い友好親善を深めていきたい」と語った。

 3歳になる双子の孫の手を取り、「孫」を熱唱した奥村宗治さん(65、宇治田原町)。記念すべき初代優勝者に輝いた。副賞の米は食糧不足の朝鮮に寄贈することにした。

 「日本人と朝鮮人が仲良くするとともに、南北の人々も早く一つになれるように地域で頑張っていきたい」と話した。

 フェスティバルの最後には、京都朝鮮歌舞団の朝鮮民謡メドレーに合わせて、参加者全員が踊りに興じた。

 「共に手を取り歌って踊る雰囲気が良かった。人間同士ふれあって仲良くすること、それが友好親善の基本だ。今回に止まらず、来年、再来年と続けていきたい。要望が多ければ、年1回と言わず、2回、3回とやっていきたい」

 今回の発案者で、全日農京都府総連の山中高吉名誉会長(73)はこう力強く語った。 (文聖姫記者)

◇          ◇

OBらで意気投合、同胞長寿会結成も好機に

 今回の企画は、日本人側が朝鮮人側に提案する形で実現した。

 「むずかしい事は抜きにして、少しでも多くの人が参加できるイベントを」(OB会の松井巌幹事)という趣旨で、文字通り裸のつきあいが出来る健康ランドで歌おうということになった。

 昨年7月に京都府同胞長寿会が結成されていたことも一つの好機に。長寿会は、総聯傘下の同胞だけでなく、民団や組織に属さない人まで幅広く参加できるものにしようと設けられた。

 当初、同胞高齢者の側は60人程度の参加を見込んでいたが、口こみで話が広がるうちにぜひ参加したいという人がどんどん増え、いつの間にか100余人に達していたという。

 「この経験を生かし、これからも高齢者が自然に集まれる場をたくさん作っていきたい」と、長寿会の金鳳永副会長(72)は話す。

 京都府同胞長寿会の連絡先=京都市右京区西院南高田町17(TEL  075・313・6161)

TOP記事 健康・趣味 社  会 社会・生活