そこが知りたいQ&A
朝鮮の国家予算が決まったが
電力、石炭約28%増 エネルギー解決に力点/農業6%減、一息つく Q 最高人民会議第10期第3回会議が平壌で開かれたが。 A 4月4〜6日の3日間、万寿台議事堂で開催された。昨年4月の第2回会議以来、1年ぶり。議案は(1)1999年国家予算執行の決算と2000年国家予算 (2 )最高人民会議休会期間に最高人民会議常任委員会が採択した法を承認することについて (3)社会安全省の名称を改めることについて (4)朝鮮とロシア連邦の間で締結された条約を批准することについて――の4つだ。 Q 予算報告の内容は。 A まず昨年の決算だが、歳入は198億300万ウォンで、計画の97.2%、歳出は200億1821億ウォンで、計画の98.2%をそれぞれ遂行した。超過遂行はできなかったものの、計画はほぼ達成できた。予算報告に立った林京淑財政相も、「昨年、歳入は計画した水準に至らなかったが、98年に比べて成長した」と述べ、「一昨年に続いて昨年も国家予算歳入が成長したことは、経済が徐々に回復していることを示すもの」と強調した。 Q 今年の予算はどうなっているのか。 A 歳入、歳出とも204億532万ウォン。歳入は前年比3.1%増、歳出は同1.9%増を見込んでいる。今年も経済全般に対する支出を増やすが、なかでも電力と石炭工業への投資を優先させる。電力工業部門への投資は前年比15.4%増、石炭工業への投資は前年比12.3%増となっている。エネルギー問題解決に全力を傾ける意気込みが予算からもうかがえる。 Q 予算は具体的にどう使われるのか。 A 電力部門では、泰川2、3、5号水力発電所(平安北道)の建設、安辺青年発電所(江原道)第2段階工事といった大規模水力発電所の建設に使われる。全国規模では中小型発電所の建設が引き続き奨励されている。石炭部門では、埋蔵量が豊富で将来性の高い西部、北部地区の炭鉱に投資を集中させて、生産の増加をもたらす方針だ。具体的には、順川と北倉の炭鉱の名が上がっている。(申泰陏電力石炭工業相の討論) Q ほかに注目される点は?? A 軽工業部門への投資が前年比4%増となっている点だ。昨年は「膨大な資金を投入する」としながらも数字は明記されていなかった。林財政相はその投資対象として、平安北道・新義州の化粧品工場、各道での基礎食品生産基地新設などを上げた。「金正日総書記の指導で1〜2年内に必需人民消費財をはじめ商品の問題が成果裏に解決される」としていることからも、この部門を近いうちに解決しようとしていることが分かる。 Q 農業はどうか。 A 農業への投資は前年比5%増だ。昨年が前年比11%増だったのと比べると約半分になっている。昨年の労働新聞など3紙の元旦共同社説は食糧問題の解決を最優先に掲げたが、今年は電力、石炭、金属、鉄道、軽工業の後に農業問題が来ている。洪成南総理をはじめとする幹部らの昨年の発言を総合しても、穀物増産で展望が開かれたとしており、食糧問題はひと息ついたと言える。それが今回の予算にも反映されている。 土地整理事業は昨年に引き続き強化される。総書記が今年1月に平安北道の土地整理事業を現地指導した際に活動家と行った談話が最近、労作として発表された。このことからもこの事業を重視していることがうかがえる。すでに江原道における土地整理事業が完成しており、今秋には平安北道が完成する予定だ。その後は黄海南道に着手する。 Q 今回の報告では増産と節約についてだいぶ強調されているようだが。 A そうだ。この問題は近年、一貫して指摘されていることではある。ただ、今回の報告で新しい表現は、「様々な形態のすべての浪費現象を徹底的になくし、非生産的支出を極力減らさなければならない」としている点だ。今年元旦の共同社説で登場した「総書記の革命的経済政策」の精神が反映されていると言える。この政策の主な内容は、◇全部門における実利の徹底保障 ◇軽工業の専門化 ◇経済的打算を優先させて節約をすすめ生産物と建設物の質向上――などだ。無駄な投資をなくし、経済実利を追求する現実的な発想だ。 |