みんなの健康Q&A

小児科 (1)
ーアトピー性皮膚炎ー

神戸医療生活協同組合いたやどクリニック・小児科医
韓希望さん


1〜2歳までは食物の関与が多い
自己判断で食物制限しない、必ず医師と相談を


 [全国調査におけるアレルギー疾患有症率(%)](一部のみ抜かす)

 Q アトピー性皮膚炎(以下、アトピー)とは、どのような病気ですか。

  1回の診察でアトピーと診断するのはかなり困難です。診断の要点は次のようになります。

 (1)かゆいことが必須条件です。かゆくない皮膚症状はアトピーとは考えにくいです。 (2)慢性に経過します。幼児、学童は6ヵ月以上、乳児(1歳未満)は2ヵ月以上続きます。(3)アトピー素因のあるものに生じることが多いです。アレルギー疾患の中心となるIgE抗体を他の人よりも作りやすい体質がある。また血のつながった家族、親族に気管支喘息、アトピー、アレルギー性鼻炎のものがいる。

  アトピーの子供はどのくらいいるのですか。

  96年厚生省長期慢性疾患総合研究事業アレルギー疫学班の調査票による結果は、表の通りです。乳幼児ではほぼ10人に1人がアトピーで、大人になると大半が良くなります。しかし約2%の人は、治りにくいアトピーを持っています。アトピーの子供はもっと多いのではと思っている人もいると思います。それは、単なる乳児湿疹や乾燥性皮膚や伝染性膿痂疹(とびひ)をアトピーと思いこんでいるせいと思われます。

  アトピーに食物はどう関与しているのですか。

  関与が大いにあるとしている小児科医の中でも意見が異なります。皮膚科医の大半は、関与は少ないとみているようです。ただ1〜2歳までは、食物の関与が非常に濃厚であるというのが大方の意見です。小児では卵、牛乳、大豆がアレルギーを起こしやすい3大食物抗原です。食物除去(原因となる食物を加工品も含めて一定期間食べない方法)をしている半数の人が、医師の診察を受けていないという報告もあります。 食物抗原として頻度の高いものは、どれも子供の発育に大切な栄養です。決して自己判断で食物除去をしないよう、必ず医師の診察を受けてからにして下さい。

  ステロイド軟膏の使用について教えて下さい。

  ステロイド軟膏を使用してほしくないという親が増えています。しかし、どうしても良くならない子供が多いので、今は説明して同意を得た人には使うようにしています。かゆみを抑える一番の塗り薬は、やはりステロイド軟膏だと思います。ステロイドには強いものから弱いものまであります。乳児や顔面、首にはなるべく弱いものを使うようにしています。また2〜3週間毎に医師の診察を受け、徐々にステロイドを減らしていきたいものです。普段心がけたいのは皮膚を清潔にするとともに、入浴後15分以内に保湿剤を塗ることです。アトピーは種々の原因が重なって発症します。食物や皮膚の状態ばかり見ずに、子供を心身両面から見つめていきたいものです。

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