ソクタム―ことわざ辞典

昼の話は鳥が聞き、晩の話はねずみが聞く


 互いに仲の悪い事を「ネコとイヌの仲」という。その理由を、おもしろおかしくユーモラスなタッチで描いた民話(「竜宮の青い玉」)がある。

 ある日、おじいさんが、川へでていって釣針を投げた。すると、その針に思いがけない大きなコイがかかった。

 「やったぞ!」

 しかし、抱いて見ると、コイは目にいっぱい涙をためていた。そのうえ、口をパクパクさせて、なにか、うったえている様子だった。

 それを見たおじいさんは、コイを逃がしてやった。その翌日、おじいさんはいつもと変わることなく、同じ場所で釣りをしていた。すると、川の中からかんむりをつけた青年が現れた。

 「ひえ! でたぁ」。びっくりして逃げようとするおじいさんに青年は「おまちください。怪しいものではありません」と言った。

 「私は海の竜宮さまの使いでまいりました。昨日、王子様の命を助けていただいたお礼としてこの青い玉を渡すように命じられました。どんな願い事でもかなえてくれる魔法の玉です」 獲物を持たずに帰ってきたおじいさんを見て、家の外でかわれていたイヌとネコが「また今日も飯なしか」と、ぼやいていたそのとき、家の中から食べられないくらいの米がでてきた。

 「魔法の玉じゃ。なんでもでてくるぞ」。おじいさんは、大喜び。それからというもの、この玉は、どんな願い事でもかなえてくれた。

 そんなある日、玉が何者かによってぬすまれてしまった。

 「よし、ぼくたちの力で玉をとりかえすぞ」。そういってネコとイヌは、盗んだ場所をつきとめ、玉を取り返したのだ。

  しかし、川を渡るとき、イヌの背中に乗っていたネコが玉を水の中におとしてしまった。 「もう探すのは無理だよ」といってイヌは家に帰ったが、あきらめずにいたネコは探しにいく。何日かたってネコが玉を持ってひょっこり現れた。おじいさんも、おばあさんも喜んでネコを迎えた。

 おじいさんが「どうやって見つけたんだ」というと、ネコは「漁師の網にかかった魚を助けてあいつ(魚)に玉を探させたのさ」と答えた。

 そして、ネコは家の中でかわれるようになった(外にいるイヌはろくに飯にもありつけなかった)。こうして、「コヤンイワ ケ」=猫と犬の仲、(日本の類句=犬猿の仲)ということわざが生まれたという。

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