目標はシドニー

アジア重量挙げ優勝/朝鮮の李成姫選手(21)


今回の世界新は在日同胞への「贈り物」

 シドニー五輪のアジア地区予選を兼ねたアジアウエイトリフティング選手権(2〜6日、大阪市長居球技場)で朝鮮選手が大活躍した。李成姫(女子58キロ級)は世界新記録(ジャーク)で優勝。任勇秀(男子62キロ級)は3位、全哲浩(男子77キロ級)は4位と健闘した。

 朝鮮は、昨年の世界選手権の国別対抗戦で、国単位の五輪出場枠を獲得できなかった。残るシドニーへの道は、個人選考と世界ランキング上位選手にIOC(国際オリンピック委員会)の裁量で与えられるワイルドカードの枠だけだが、今大会で世界記録を更新して圧勝した李成姫は、間違いなくシドニー切符を手にするだろう。

 女子58キロ級の李は、スナッチとジャーク、それぞれ1回ずつの試技のみで優勝を決め、周囲を驚かせた。その圧倒的な実力は、シドニーでの大きな可能性を感じさせるに十分だった。

 試合後、李喜峰監督は「その気になればスナッチでも世界新を出せたが、この場でその必要はない」と語り、あくまで目標はシドニーであることを伺わせ、「ジャークで世界新を出したのは、熱い応援を寄せてくれた在日同胞に対する贈り物だ」と笑った。

 12歳からウエイトリフティングを始めた李。2年前にはアジア大会で当時の世界記録を出した。昨年8月のアジア大会では総合優勝している。

 着実に実力を伸ばしている李にライバルがいるとすれば、中国の陳艶青だ。昨年11月の世界選手権で李は、スナッチと総合で陳に敗れた。今大会で陳は一階級上の63キロ級に出場し、優勝したが、シドニーでは再び58キロ級に戻ってくる可能性がある。

 しかし、「怖い物はなにもない」と李監督は断言する。事実、今大会での陳の記録は李の記録を下回った。何よりも李はスナッチ、ジャークともに1回しか試技に臨んでいない。

 「成姫は昨年よりはるかに成長した。練習での記録? それは秘密にしておこう」  (李監督)

 数々の世界大会でメダルを獲得し、「重量挙げ強国」として知られる朝鮮だが、五輪での金メダルはまだない。今年のシドニーから五輪の正式種目になる女子ウエイトリフティング。李の「秘密」が明らかになる日が待ち遠しい。 (李瑟基記者)

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