みんなの健康Q&A
小児科 (2)
−ぜんそく−
神戸医療生活協同組合いたやどクリニック・小児科医
韓希望さん
アレルギーなど種々の原因が重なる 治療法画期的に進歩、自己管理が大事 Q 喘息(ぜんそく)はどのような症状ですか。 A 呼吸がしにくい状態が発作的に起こる病気で、のどからゼイゼイ、ヒューヒューという音がし、肩で息をします。乳幼児にときおり見られるぜん鳴も、のどがゼロゼロしますが、呼吸困難はそれほどではなく、睡眠も食事もふだんと変わりません。表のように、ぜん鳴は成長とともに減少します。小・中学を過ぎると喘息とほぼ同じ割合になります。喘息とぜん鳴は重複していると考えられます。乳幼児期には喘息と診断することにより、 「喘息様気管支炎」ということが多いようです。 Q 喘息の原因は。 A 小児喘息の原因の大半はアレルギーによるものです。大人になるにつれて、かぜウイルス、天候、過労、ストレス等々が加わります。どちらにしても種々の原因が積み重なって発症すると考えられます。アレルゲン(アレルギーの原因)としては、ハウスダスト(家のほこり)、ダニが圧倒的に多く、カビ、動物の毛などが続きます。 Q どんな治療法があるのですか。 A 発作時の治療法は、早め早めに対処することが大切です。咳き込んだり、息苦しそうで眠れないようなら、まず医師から処方してもらった薬を飲ませます。 気管支を拡げる薬(テオドール、ベネトリン、メプチンなど)が多いでしょう。水分を少しずつ与え、できるなら腹式呼吸をさせ、たんを出させます。これで治まらないとき、小学生以下なら気管支拡張の吸入薬(口から一定量の薬を吸い込む)を使わせることもありますが、頻繁に使うと危険です。できればインタール(抗アレルギー薬)と組み合わせて、吸入器(ネブライザー)でした方が効果が大きいようです。吸入を2〜3回しても治まらないときは、必ず病院に行って治療を受けて下さい。 Q ステロイド(副腎皮膚ホルモン)吸入療法というのがあるそうですが。 A 現在、喘息の治療法としてもっとも注目を浴び、効果を上げている療法です。ステロイド薬は飲み薬としては種々の副作用がありますが、吸入薬としては使用法に気をつければまず心配ありません。最近、液状ではなく、ドライパウダー状のもの(ディスクヘラー)が使用できるようになり、楽に吸入でき、持ち運びも便利になりました。中学生以上にはすすめています。ただし発作時にはうまく吸入できません。発作が治まってから、毎日定期的に吸い、次の発作を起こさないようにする予防法として大切な療法です。小児での予防法としては、前述のインタール吸入療法があります。 Q どのようなことに気をつければ良いのでしようか。 A 糖尿病や高血圧と同じように喘息も自己管理すべき疾患となりました。乳幼児では息苦しさ、咳、たん、睡眠、いきなどから判断し、小学生以上では、それらに加えてピークフロー値で判断します。 ピークフロー値とは、できるだけ息を深く吸い込み、一気に出したときの呼気流量のことです。自分の呼吸状態を知るバロメーターと思って下さい。高血圧での血圧計のようなものです。自分のピークフロー値の最高値を知り、その80%以下はイエローゾーン、60%以下はレッドゾーンとして、その時々に適切な処置をして、発作を素早く治めるようにするわけです。 インタール呼吸療法に始まりピークフロー値測定、ステロイド吸入療法と、喘息の治療は画期的に進歩しています。自己管理をきちっとすれば、発作で学校を休むこともなく、好きなスポーツもみんなと同じようにできるはずです。 |