春・夏・秋・冬

 「みなさんも釜に入れるものがなくて、ひもじさをこらえていることは知っています。でも、コークス炉にくべるものがなくて、炉が冷めてしまう事態が迫っています。たきぎ1本でも2本でもけっこうですので、あるだけコークス炉まで持ってきて下さい」

▼朝鮮が「苦難の行軍」を行っていた97年初、金策製鉄所の労働者が2台の宣伝カーに乗って涙ながらに訴えた。それから2日もせずに、コークス炉の前には860立方メートルのたきぎが、山のように積まれた。タンス、まな板、テーブルもあった

▼朝鮮文学3月号に掲載されたある作家の現実体験記の一部である。原料不足のために炉の火を落とさなければならない事態に陥ったときの製鉄所労働者と市民のたたかいをリアルに描いている。40余年間、1度も火が絶やされることのなかったコークス炉の前に集まった数千人の労働者は、この危機に対して身の危険を顧みなかった

▼原料不足に陥ったことについて体験記は、南朝鮮当局が原料輸入国に朝鮮との契約を取り消すよう工作したと指摘している。これについては十分、思い当たる節がある

▼97年1月に不渡りを出した韓宝グループが、金策製鉄所と合弁を進めていたとの情報があった。韓宝グループの倒産はその後、金泳三の次男、「賢哲スキャンダル」へと発展する。その賢哲は黄長Yの亡命工作を陣頭指揮し、金泳三も北を「故障した飛行機」になぞらえて「崩壊間近だ」と騒いでいた

▼それから3年。現在、金策製鉄所の煙突からは煙がもくもくと上がっている。それが朝鮮の誇りだ。 (元)  

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