取材ノート

増幅される「外国=害人」という集団心理


 在日外国人問題に関する日本人の無知、独断、偽善、おごりは驚くべきものであった。先日、知人から送られてきた「共生の時代を生きる」というタイトルでテレビ放映された放送大学の講義番組の収録ビデオを見て、怒りに堪えなかった。

 先月から15回の予定で始まったこの番組の2回目(4月14日)の講義で担当教授は、日系ブラジル人労働者が増えている群馬県大泉町と、新来外国人が多く住む新宿区などを取り上げ、これらに共通する悩みとして「犯罪」が多くなっていると指摘した。外国人の人権と主体性がどのように守られ尊重されているのかを問題にせず、必要以上に 安全への脅威=外国人犯罪 というイメージを膨らませていた。

 とくに、看過できなかったのは、大泉町では警察まで加わって「協議会」を作り犯罪などを防ぎ、外国人と「共に生きている」と、美化ないし評価しているシーンであった。朝鮮人は戦前、「協和会」という組織をもって治安管理されていた。それと同様なものをつくって、外国人を治安管理の対象として取り締まろうとするのであろうか。

 同日の番組は、当初の講義内容を急きょ変更して放映されたものだ。変更前の番組がどのようなものであったかは、想像に難くない。講義はまさに、石原都知事の差別発言と根っこを一緒にしていた。

 都知事の発言後、テレビや新聞などでは、ことさら外国人の犯罪事件を流している。容疑者の外国人がいったん無罪の判決を言い渡されたにもかかわらず、再び送検・拘禁されるという異例な出来事も起きている。「外人=害人」という集団心理が増幅され、そういったステレオタイプを支持する世論が形成されつつある。 (金英哲記者) 

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