ニュースの眼

南朝鮮の米軍地位協定の実態
及び腰の当局、改正交渉95年から中断


 今月8日に起きた米軍の梅香里(京畿道華城郡)爆撃事件をきっかけに南朝鮮駐屯米軍の撤退と「韓米駐屯軍地位協定」(SOFA)の改定を求める世論が再び高まっている。同事件は、射撃場で演習を行っていた米空軍機が、エンジン不良を起こしたとして6発の実戦用爆弾を投下、住民7人が負傷し、約170棟の民家が被害を受けたもの。また南朝鮮では米軍兵士による殺人、暴行事件などが絶えず、しかも犯罪者を裁けないことに市民は、「もうこれ以上我慢できない」と怒りの声を挙げている。

裁判権行使はたった3.5%

最も不平等な内容

 世界各国に軍隊を駐屯させている米国は、それぞれの国と「駐屯軍地位協定」を締結しているが、その中でも最も不平等だと言われているのが、南朝鮮との協定だ。

 たとえば、殺人などの重大犯罪を犯した米軍兵士の身柄は、戦敗国の日本、ドイツでさえ検察起訴後に引き渡されるのに対して、南朝鮮では最高裁の確定判決が出た後となっている。しかも米軍側が身柄引き渡しを拒否することができるし、米軍が要請すれば、裁判権そのものも放棄しなければならない。

 「大韓弁護士協会」によると昨年、犯罪を犯した米軍の数は956人に上るにもかかわらず、そのうち裁判に付されたのは、わずか34人(3.5%)に過ぎない。

一方的に決裂通告

 SOFAの不平等性は、犯人引き渡し問題だけではなく、米軍部隊に雇用されている南朝鮮労働者の労働基本権侵害、米軍兵士や軍属が使用する物品の関税免除、米軍施設と基地使用による環境汚染などが代表的な要素として挙げられる。ちなみに、一般的な国際法では、外国軍隊は駐屯国の法秩序に従うとなっている。

 南朝鮮は朝鮮戦争中の、51年に駐屯軍地位協定を締結し、米軍に一切の裁判権を付与するという屈辱を味わったが、その後も67年と91年の2回にわたるSOFA改正交渉でも主権を取り戻すことができなかった。

 そして95年に行われた改正交渉では、米国からとてつもない「防衛負担金」を要求されたあげく、米国側から一方的に交渉決裂を通告され、現在まで交渉は再開されていない。

三等国民扱いの改善

 南朝鮮市民が最低限の要求として打ち出しているのは、(1) 米軍犯罪に対する南朝鮮の捜査権、裁判権、刑執行権の完全保障(2) 米軍被害に対する損害賠償上の請求権確立(3) 米軍基地使用の契約締結と基地使用料の徴収(4) 米軍部隊に勤務する南朝鮮労働者の労働権と人権の保障(5) 米軍の密輸と物資の不法流出防止対策とその他、米軍の特権的地位の廃止など。そしてなによりも求められているのは、「米国がわれわれを三等国民扱いしている点」(不平等なSOFA改正国民行動常任代表の文ジェヒョン神父)を改善することだ。

 しかし、金大中大統領の米軍観が「南北統一後にも東北アジアの勢力均衡のために駐韓米軍は絶対に必要だ」ということを考えると、たとえ交渉が再開されても主権回復にはほど遠い内容になると考えられる。

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