くらしの周辺
ケンカの目的
遥洋子著「東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ」(筑摩書房刊)は非常に興味深く、刺激的な本であった。タレントの遥さんが、当代きってのフェミニズムの論者である上野さんに師事し、「ガクモン」と必死に格闘した数年間の報告である。彼女の成長の跡が文章と文体にそのまま現れて、好感がもてるだけでなく、学問と女性問題に取り組むための貴重な提言にもなっている。売れているのも、さもありなんという本である。
反面、まだまだ女性問題はその解決の端緒についたばかりであり、女性が頑張り、男性と闘うことによってしか論じられない水準にあることも、再認識させられたのであった。しょうもないオトコが多すぎるから仕方ないのだが、しょうもないオンナがまだ多いのも現実だ。つまり、女性問題を解決するためには、オトコもオンナもその脳味噌を変えていかないかぎり、難しいということだ。 最近、結婚しないオトコやオンナが増えているのも、現実からの逃避が主因のようだ。もちろん結婚がすべてではないが、他者との関係性を持ちたくない、持たない結果であるなら、問題の根は深いと言うしかない。 社会にこびりついたオトコ優位、オンナ劣等のカビのような規範を打ち破るためには、オトコとオンナが手を結ぶしかないだろう。覚醒した男女が、旧来の価値観に縛られた男女と闘い、社会を変えることこそ、ケンカの醍醐味と真の目的なのだから。 (趙) |