ニュースの眼
在日の日本軍軍人、軍属 野党の「見舞金」法案
加害責任にまたもほお被り 金額も「かわいそう」というレベル 植民地時代に日本軍の軍人・軍属として駆り出された在日の朝鮮、台湾人を対象にした政府与党の「見舞金」法案が18日、衆院で可決された。この問題に関する法案が国会で審議されるのは初めてだったにも関わらず、半世紀以上被害者を放置した日本政府の加害責任は追及されることはなく、あっけなく可決された。犠牲者の遺族に対する「弔慰金」は260万円、重度戦傷病者に対する「見舞金」は400万円。この金額は、10数年前に台湾人元軍人・軍属の遺族や重傷者に支給した200万円という数字をいじっただけだ。
衆院で「見舞金」法案が可決された日、傍聴席に審議を見守る姜富中さん(79、滋賀県在住)の姿があった。10代半ばの頃に渡日した姜さんは、22歳の時に日本海軍に徴用された。 45年、南方戦線で弾薬を運んでいて、米軍の銃撃を受け、親指を残して4指を切断、右目の視力を失う大けがを負った。 日本人の場合、同程度の障害があれば、3000万円を超える補償を受けられるが、日本政府が姜さんに謝罪や補償をしたことは今まで1度もない。 「日本人になることを強制されて戦争に駆り出され傷ついたのに、なぜ補償で差別するのか」。1993年に起こした裁判は7年8ヵ月に及び、現在も係争中だ。 与党の「見舞金」法案に反対した姜さんら被害者たちは、与党が法案提出を準備していた直前の9日、各政党を回り、国会議員たちに最後の要請を行ったが、その声も届かなかった。 当初から日本政府は「サンフランシスコ講和条約や二国間条約で解決済み」という戦後補償の枠組みを変えるつもりがないことを明言していた。「与党は、被害者がかわいそう、という発想から出発し、見舞金のレベルで調整しようとしていた」(故鄭商根さんの代理人の丹羽雅雄弁護士)。 法案は、日本政府が被害者を戦場に連行したことや、長年放置したことに対する加害責任には触れていない。「人道的精神に基づく弔慰金、見舞金」にとどまっている。金額も援護法などできっちり補償している日本人とは比べものにならないほど少額だ。 日本は戦後、GHQ(連合国軍総司令部)が廃止した軍人恩給を復活させるなど、日本人軍人・軍属を手厚く保護してきた。 しかし、植民地出身の在日の軍人・軍属たちは、当初から援護法や恩給法に国籍条項などを設けて除外した。日本政府は在日朝鮮人らの戦後補償問題は「二国間条約」で扱うとしたものの、政治的に決着された「韓日協定」では解決がなされなかった。 一方、南朝鮮当局は「韓日協定」締結後、国内の戦没者には補償を行ったが、在日「韓国」人は「協定の範囲外」と除外。日本政府も「日韓条約をもって完全かつ最終的に解決済み」としたため、在日の被害者は双方から放置されたのだ。 日本には手厚く 今国会では、日本人戦傷病者の父母に特別弔慰金を支給するための7度目の法律改正が行われた。 17日、参考人として国会に招致された田中宏龍谷大学特認教授は、この事実に触れ、「戦争が終わって50年以上もたっているため戦没者の父母は高齢だが、国の推計で810人の方が残っている。その人たちへの支給のため、7度目に法が改正され、国債が発行される。恐らくこの国では800人の方全部が亡くなられるまでお金を出すだろう」と指摘し、「(植民地支配に対する戦後補償を)やると切りがないという話をする人がいるが、日本人についても同じことを言って見たらいい」と語った。 4月20日、与党に先立って年金方式の補償法案を提出した民主党は、今後行われる参院での審議で、在日朝鮮人被害者の「肉声」を伝える時間を求めていた。与党法案が、被害者の声を一切聞かず、作られたためだ。 法案は31日にも参院で可決され、成立する見通しだ。 (張慧純記者) |