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婚礼制度


悪習慣にしばられた女性/六礼の厳格な儀式

 朝鮮半島の婚礼制度は、他国の例に見るまでもなく、様々な変遷を経てきた。原則的には一夫一婦制であったが、男性中心の婚姻観から実際は一夫多妻制だった。古朝鮮の部族、沃沮(オッチョ)では女子は10歳になれば、親が決めた相手の家に行って住み、その家のしきたり、しつけなどを教え込まれてから成長して1度実家に戻る。そして、夫側から一定の金銭をもらってから婚姻をし夫婦となる。一種の売買結婚制度である。

 高句麗時代には、婚姻が決まると新婦の家が裏庭に小屋(仮の新居)を作った。新郎が夜、新婦の親を訪ね泊まることを願いで、許しを受けて小屋に一緒に住んだ。そして、生まれた子供が大きくなって初めて、妻を連れて自分の家に連れて帰る。母系氏族時代の名残だといわれている。

 婚姻適齢期は近世以降、男子16〜30歳、女子16〜20歳までの間とされてきた(「四礼便覧」)。朝鮮朝末期頃から早婚制度が流行し、男子は12〜13歳で結婚した。むろん、親の決めた相手であった。

                                                                                    婚姻式に向かう新郎

 かつての婚姻は、「六礼」という厳格な儀式を経て行われた。仲媒(チュンメ=仲人による婚姻)、納采(ナップチェ=新郎側が新婦側に婚姻を願い出る)、問名(ムンミョン=新郎の将来を占う)、納吉(ナップギル=吉日を選んで婚姻の日を通知する)、納幣(ナッペ=新郎側が青と赤の絹織物を新婦側に贈る)、請期(チョンギ=新郎側が新婦側に婚姻日の可否を問う書を送る)、親迎(チニョン=新郎が新婦を迎える)である。

 地方によっては、婚姻に必要な品物、費用を新郎、新婦のどちらか一方がすべてを負担したり、折半するなどした。
                                                                                多くの人に見送られる新婦

  めでたい婚礼だが、女性は「三従之法」(サムジョンチポブ=幼い時は親に従い、嫁にいっては夫に従い、夫が亡くなれば子に従う)、「七去之悪」(チルゴチアク=夫の親に従わなかったり、子供が生めない、あれこれと口外するなど、嫁がしてはならない7つの項目)の悪習慣によって縛られた。 

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