取材ノート
歌声に込められた期待
21日に東京で行われた総聯結成45周年「2000年5月 在日同胞大祝典」に出演したピョンヤン声楽俳優団のメンバーは、引き続き東京、大阪、京都で公演し、朝・日友好にも一役買った。
歌劇「花を売る乙女」の主題歌や歌曲「椿」、イタリア歌劇のアリア、「ノドルの川辺」などの民謡メドレー…。朝鮮でもトップクラスのマンスデ芸術団の歌手たちが繰り広げる歌の競演は、客席をおおいに沸かせた。 東京での公演で、ひときわ大きな声援が飛んだのが、ソプラノ歌手、李香淑の歌った映画「タイタニック」のテーマだった。朝鮮で最も権威のある「2.16コンクール」受賞者でもあり、若手の中で今後が最も期待されている李の熱唱に、場内はシーンと静まり返る。歌い終わると、客席のあちこちから「アンコール!」の声が際限なく響き渡った。 「『タイタニック』を歌ったことは、朝鮮が外に向けてどんどん動き出している1つの兆候だと言える。統一に向けて一歩一歩前進していることが、肌で感じられた」 元参議院議員で、現在はエジンバラ大学特任客員教授を務める國弘正雄氏が、こう感想を述べていたのが印象的だった。 朝鮮は、今年初めにイタリアとの国交を正常化したのを皮切りに、今月にはオーストラリアとも外交関係を再開、フィリピンとの国交正常化やASEAN地域フォーラム(ARF)への加盟も日程に上っている。来月には初の南北最高位級会談も行われる。 こうしたなかで日本で公演を行なったピョンヤン声楽俳優団の美しい歌声には、朝・日関係が改善されることへの期待が込められているのだと思った。 (文聖姫記者) |