春・夏・秋・冬

 地域の分会で、ミニコミ紙を発行している。A4版1ページだが、カラー印刷で写真や4コマ漫画も掲載するなど、なかなかのものである。とは言え月に1回、欠かさずに出すとなると、これまたたいへんなことで、スタッフは毎回、ネタ捜しに苦労しているらしい

▼新聞記者入門といった本には、「犬が人間を噛んでも記事にはならないが、人間が犬を噛むと記事になる」と書いてあって、駆け出しの頃は、フンフン、ナルホドと感心し、それを実践しようとした。が、人間が犬を噛むような事件は、そうそうあるわけではない。やれ視聴者が、やれ読者が、と非日常的な事件ばかりを追っていると、たどり着くのは ヤラセ である

▼とある文豪は、「話すように書く文章」を追求していると、どこかで書いていた。これまたフンフンと膝を打って試してみた。テープレコーダに吹き込んで、それを原稿用紙に写したのだが、まったく文章の体を成していなかった。主語と述語が合っていなかったり、抽象的な表現が多かったりで、これもすぐにあきらめた

▼物事を正確に書こうとすると、裁判の判決文みたいになってしまい、美辞麗句を並べようとすると、不祥事を起こした警察の謝罪文のようになってしまう。とかく文章はやっかいなものだが、かといって逃げ出すわけにもいかない

▼日常的な出来事の中に隠された真実、感動をいかに探し出し、いかに伝えるか。ライターとしての資質、力量が問われるところだ。分会通信スタッフの苦労は、察するに余りがある。さて、来週の本欄のネタは……。 (元)

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