お茶人口が年々増加/低カロリー健康重視へ
食事の折、喉の渇きをいやすのに欠かせない飲料水。中高年はもちろん若い人たちの間でも最近、人気なのがお茶だ。大手飲料メーカーは今春、こぞって新製品を出し、PRに余念がない。そのお茶があらゆる世代で飲まれ出した背景には、何があるのか。 炭酸物は減少 一昔前なら、お茶といえば年寄りが飲むもの、という印象だった。だが、お茶人口は年々増え、若い人たちの間でも主流になりつつある。 伊藤園、アサヒ、キリンビバレッジ、サントリー、日本コカ・コーラ、カゴメなど各メーカーの市場調査でも炭酸飲料を飲むのは10代、缶コーヒーは一部の男性が支持しているくらいで、甘い炭酸やジュース、コーヒーなどの消費はどんどん減り、それとは逆にお茶飲料は一貫して伸びているという。 一言でお茶といってもウーロン茶、緑茶、ジャスミン茶、はとむぎ茶など種類は豊富だが、各企業はこうしたお茶に「しみじみ」、「なごみ」などの商品名を付け、消費者により身近な印象をあたえる飲料水としてさかんに売り出しを始めている。 お茶の需要は、単なる一時的なブームではないと業界はみている。6年前と比べ倍の1600億円市場に成長しており、2005年にはさらに倍増するとの予想もある。 お茶愛飲人口の背景には高齢者社会への移行の影響がある。その一方で、企業での男女平等意識の浸透と、不景気によるいわゆる「お茶くみ」労働力の決定的な減少によって、「自分で調達」する人が増えているといった事情もある。 しかし、需要をのばした最大の功労者は、ペットボトルの出現だとメーカーは口をそろえる。中でも500ミリリットルは、カバンに入れて持ち運ぶのに便利だし、オフィスでも机の横に置いたまま仕事をしても邪魔にならない。ふたがあるので、こぼれないし、残った分はふたを閉めて保存できるなど利点もある。 96年の500ミリリットルペットボトルの解禁時には、「新たなごみの原因になる」と消費者センターなどから指摘されたが、容器包装リサイクル法の整備によって、ペットボトルのリサイクル化が制度化され問題は解消された。 カロリーの高いコンビニ弁当や油っこい外食が多いといった現代人の食事情が、逆に低カロリーや健康を重視した飲料志向へとむけているようだ。 (金美嶺記者) |