歴史的な平壌対面と南北最高位級会談

6.13 その瞬間/驚きに沸く各地の同胞


55年の辛さ吹き飛んだ

                 自由往来が待ち遠しい

                               胸躍った握手のシーン


◇札幌

 13日、CSアンテナのある札幌市豊平区の宋英芬さん(52・女性同盟札幌支部非専従委員長)宅には、朝から同胞が入れ替わり立ち替わり訪れ、賑やかさが絶えなかった。

 南北首脳が歴史的な出会いを果たすと、喝采と歓声が沸き起こった。

 「待ちわびた日がついに来た。統一が現実味を帯びて見えてきた」。朝青道本部の郭仁洙副委員長(27)は、興奮気味の口調で「期待で胸が膨らんでいく」と続けた。

 宋さんは、「朝鮮民族は今まで、どれだけ統一という言葉を叫んできたでしょうか。金日成主席が、ついにこの瞬間を見られなかったことが惜しまれる。握手のシーンは何度でも見ていたい」と話した。


◇埼玉・大宮

 総聯埼玉・中部支部大宮西分会の同胞たちは、李聖浩副分会長(53)宅に集まった。禹信吉分会長(53)の音頭で祝杯。「今日ほど酒がうまい日はない」と感想が漏れた。

 禹分会長は午前10時すぎ、ラジオで金大中大統領平壌到着の第1報を聞いた。金正日総書記と金大統領が握手を交わす光景が浮かび、涙がこぼれたという。

 「南の地を堂々と踏める日は遠くない」「自由往来が実現すれば、それこそ統一だ」…。総聯県本部が録画したMBCニュースを見て、李副分会長宅に対面の感動がよみがえった。

 夜10時、焼肉店を経営する朴信之副分会長(49)が訪れた。何でも、会談が開かれる3日間、全品半額セールを行うのだそうだ。



 約7000人の同胞が暮らす東京都荒川区。地元の1世同胞たちは、総聯荒川支部顧問の李三龍さん(75)宅で「その時」を迎えた。

 総書記が金大統領と固く握手した瞬間、テレビの画面を食い入るように見つめていた同胞たちは沸いた。「これぞ統一だ」と言わんばかりの拍手喝采。「統一実現に身を捧げた主席の笑顔が思い浮かんだ」(女性同盟顧問の姜心淑さん、80)と、思わず涙する姿も見られた。

 「55年、待った甲斐があった。感無量です」。1世女性で作る「ムグンファ(むくげ)会」の会長、金玉善さん(74)は、同じ場面なのに、対面シーンが流れるたびに目頭を押さえるのに精一杯。「やっぱり朝鮮民族は1つ。1度、会って言葉を交わせば通じ合うんですからね」

 同じく1世同胞の会「延寿会」幹事長の朴泗鎰さん(78)も「総書記も金大統領も、対面の実現に向けて苦労されたでしょう。双方の努力の賜物です」と話す。

 「この日を見ずに亡くなった1世の分まで頑張りたい」と、金さんは語る。「こうなったら統一まで長生きしましょうよ」と言うと、笑みをこぼした。

◇神奈川・鶴見

 総聯神奈川・鶴見支部鶴見分会事務所には、夕方の6時半ごろから近所の同胞たちが集まりだした。

 鶴見分会の金龍一分会長(65)は、「飛行場に降り立った金大統領が主席の肖像画の方を向いて会釈しているようだった。敬意を表したその姿に感動した」。


 対面の瞬間、「おーっ」と歓声を放った徐義文さん(40)は「双方が両手で握手し、並んで歩く姿に、同じ民族同士がやっと一緒に歩いていける時代になったと感じた」と興奮気味だった。

  総聯生麦分会の李喜久分会長(58)は、終始目を潤ませていた。朝4時から仕出弁当屋を営む李さんの毎日は、ニュースを見る暇もないほどの慌ただしさで、分会事務所で初めて映像を目にした。
                                           

「4年前に亡くなったオモニを思い出します。わずか14歳の時に生きるすべを求めて日本に来て、言葉もろくに知らない中で大変な苦労をした。異郷の地で亡くなった1世の苦労を思えば思うほど、この日の出会いが胸にしみます」 

 李さんには、南にまだ見ぬ親戚がたくさんいる。「ここまであまりにも長かった。同じ血を分けた兄弟と分け隔てなく会いたい」。

 金分会長は「統一への扉にやっと一筋の光が差し込んだ。この扉をどう広く開けていくか。これからが正念場です」と語った。


  ◇千葉

 総聯千葉支部・西千葉分会の分会委員らは、同胞の焼肉店で祝杯を上げた。

 馬点洙分会長(53)は「分会の同胞はもちろん、日本国籍の同胞も皆、心から喜んでいる。今後も2回、3回と会談が続いて南北が和解し、固く結ばれることを期待している」。
 「これを機に、民間の交流も活発化すればいい。誰もが自由に行き来する日が待ち遠しい」(白源※(米=火編に亘)副分会長・52)。感激覚めやらぬ雰囲気のなか、乾杯の音頭が何度も響いた。

◇大阪・生野

(会談開催を歓迎する横断幕)

  大阪市生野区桃谷の「コリアタウン」の一角、黄絹恵さんが営む喫茶店では、握手の瞬間、同胞から悲鳴に近い声が上がった。夫の崔太成さんは「朝鮮人なら誰しも胸おどる光景ですよね」と、仕事も手に付かない様子だった。

 その日の晩、総聯生野西支部には1世女性が40人ほど集まった。

 康静姫顧問は、この日が70歳の誕生日。「55年間の辛さが今日1日で消えてしまうほど、統一への確信と希望が沸いた。ニューヨークに留学中の娘からも『在米僑胞も喜んでいる』と電話があった」。他の1世女性たちも「今まで生きてきた中で一番うれしい日」と語っていた。

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