春・夏・秋・冬

 金正日総書記と金大中大統領が握手を交わし、抱擁する姿を目にした在日同胞は、別れたまま今も会えない肉親や、統一を願いつつ異国の地で亡くなった自分の肉親たちに様々な思いをはせたに違いない。映像を食い入るように見、抑えきれない感動にふるえ、とりわけ「アボジ、オモニに見せてあげたかった」と目頭を熱くしていた人は多かったと思う

▼この異国の地で、どれほど多くの1世たちが亡くなっただろう。また、苦労多かったオモニたちが統一を、故郷を、肉親を思って夜の月を見上げ、涙を流したことか。子供らが生きがいであり、希望であると、幼いわが子を抱きかかえ、またご飯を炊きながら、街を歩きながら、心の中で飲み込んだ涙はどれほどだったか

▼食べるのが精一杯で、空を仰ぎ呪いの言葉をはく暇さえなく、また地面に向かって唾を吐きかけることもできなかったオモニたち。そんな苦痛の日々を送ったからこそ、全ての不幸の根源が分断にあることをはっきりと認識していたオモニたちであった

▼南で獄苦を強いられ、10年前に釈放された徐勝さん(立命館大学教授)は、80年5月20日に亡くなった呉己順オモニを思い、感無量な気持ちで映像を見ていただろう。生前、オモニは言った。「統一したら、どんなにあれでしょ、ええ国ですよ。やっぱし朝鮮の国はよくなってほしいし、統一して欲しい」(「朝をみることなく」)

▼もう私たちは、オモニたちを悲しませてはならない。統一の朝を迎えるために、在日が出来ることはやまほどある。 (舜)

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