朝鮮語から広がる夢
共に開こう新世紀の扉

朝鮮学校の子供たちとの楽しい出会い(筆者写す)

椋田 泰子


 朝鮮語を習い始めて1年半が過ぎた。広島からは「韓国」へ直行便が出ており、東京に行くよりも近いこともあって旅行する機会が多くなった。しかし、お隣なのに全く見慣れぬ文字に元気のよい言葉の洪水。行くたびに、感じる言葉が話せるようになって自分の気持ちを伝えられるようになりたい、という思いから習い始めることにした。今は「ケナリの会」に所属し、女性同盟の金英淑先生の指導のもと、週に1回の授業で発音や会話、文化などをマイペースで学んでいる。まだ簡単な自己紹介や会話程度の朝鮮語しか話せないのだが、週に1回でも朝鮮語に触れることで、朝鮮がとても身近に感じられるようになり、「ケナリの会」に行くのが楽しみになっている。

 つい先日は、おぼつかない朝鮮語を実践してみよう、ということになって広島朝鮮学園を訪問する機会に恵まれた。まず、行ってみて驚いたことは、子供たちの表情がとても明るいことだ。初級部6年生の子供たちと交流をしたのだが、どの子も屈託のない表情で積極的に発言する姿勢がとても印象的だった。そして、礼節を重んじる教育の素晴らしさなのだろうか、先生や訪問者の私たちに対する礼儀正しい挨拶と対応に、清々しいまでの感動すら覚えた。こんな風にしっかりと挨拶のできる子供たちならば、今の日本の学校で問題になっている学級崩壊や陰湿ないじめなど、おそらくないのではないか。全く素晴らしいことである。もちろん、日本も朝鮮もそれぞれに良いところはあるが、こと教育に関して隣の友人の国では、日本で失われた大切な心が確実に伝えられている。

 また、折しも行われたばかりの南北首脳会談は、近しい隣人としても大変興味深いニュースだった。同じ顔に同じ言葉を話す南北朝鮮の人たちが自由に行き来できるようになったら、どんなに嬉しいことだろう。そして、同じ顔にたくさんの共通点のある文化をもつ日本と朝鮮。もっとオープンに付き合ってお互いの国を知り、良いところを学び合えば、私たち隣人同士はきっと素晴らしい文化を築くことができるだろう。

 新世紀はすぐそこだ。世界はますます狭くなって情報は国境を越えて駆け巡る。新しい歴史の扉を、これから同じアジアの一員として私たちが開いてゆくのだ。朝鮮学校で一緒にレクリエーションをした自由に2ヵ国語を操る子供たちの笑顔が思い浮かぶ。私たちには日朝の、そしてアジアの明るい未来が開かれている。そう考えると思いはどんどん膨らむばかりで、まだまだ当分私の朝鮮語熱は冷めそうにない。(むくだやすこ・フリーライター)

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