私の会った人
高岩 仁さん
教科書に書かれていない日本軍の侵略の歴史を取り上げ、優れたドキュメンタリーを制作し続けてきた。
一昨年末には「平和・共同ジャーナリスト基金賞奨励賞」を受賞。 受賞したのは、「記録映画 教えられなかった戦争・フィリピン編」。すでに「マレー半島編」も制作、大きな話題を呼んだ。この地域を対象に選んだのは、友人の高嶋伸欣・琉球大学教授の熱意に動かされたことが大きい。20数年前から50回以上もこの地に足を運び、日本軍の残虐行為を調査し、学校で教えてきた同教授の話を聞き、テーマを決めた。 71年公開の劇映画「どぶ川学級」の撮影に参加、「映像文化協会」を主宰し、ドキュメンタリー映画づくりに取り組んできた。 20数年前に、戦争は悲惨さを知らせるだけでなく、なぜ起きたかを追及すべきだ、というドイツの作家ブレヒトの言葉と出合い、それを作品作りの根底に据えてきた。 「日本の植民地統治下にあった時代、朝鮮から強制的あるいは仕方なく日本で働かされていた人々が、過酷な条件のもと、自分自身や仲間たち、そして祖国の解放のために、闘い続けていたことの記録『解放の日まで』や日本の侵略戦争は、何のために、誰が必要として引き起こしたのかを追及し、今もその構造は変わっていないことを告発した作品を撮り続けてきた。歴史を知らない若い人たちに見てもらいたい」と高岩さんは語る。 (粉) |