くらしの周辺
2人の女性の平壌訪問
南北首脳が出会った、まさに歴史的な映像を目撃した感動の余韻がまだ覚めやらぬ。この瞬間に同時代人として生きる喜びを心から感じる。統一の日を見ることなく逝った、多くの人びとの無念さの分まで。
李姫鎬夫人の映像も感動的であった。幼稚園の園児たちと一緒に手をつないで踊る姿。高等女学校時代の恩師、キム・ジハンさんと60年ぶりに再会し、抱き合う姿。そして、宴会の時、「どうして大統領と離れて座っているのですか。離散家族になってしまったかと思いましたよ」という金正日総書記のジョークに思わず爆笑したその笑顔。 その姿を見ながら、2つのことを思い出していた。1つは、金大中大統領が光州事件の首謀者としてでっちあげられ、死刑判決を受けて獄中にとらわれていた時、夫人が×印を書いたマスクをつけて抗議していた、その時の射るような不屈の眼である。 もう1つは、1989年に平壌で開かれた世界青年学生祝典に参加した後、南に帰って投獄された林秀卿さんのこと。北での熱狂的な歓迎ぶりを撮ったビデオを先頃、見直して、また涙したものだ。あの時、今日の日が来ることを、大統領夫人が同じように平壌で歓迎されることを、誰が想像しえただろうか。 いくら弾圧しようが、歴史は流れるままに流れるのだ。統一の願いを誰も抑えることはできない。2人の女性の平壌訪問を見くらべて、その真実を確認せずにはいられなかった。 (趙) |