ARF、多国間で安保対話
米、EUも網羅


 朝鮮政府は4月29日付で、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)への参加申請を議長国のタイに送付。ASEANの10ヵ国すべてが、これを了承した。

 申請が認められたのは、朝鮮が外交関係を結んでいなかった2ヵ国のうち、フィリピンと近く国交を樹立する運びとなり、残るミャンマーも歓迎の意を表したことが下地になっている。

 ARFは、アジア太平洋地域の安全保障問題を話し合う目的で1994年に始まった。ASEAN加盟国のほか、米、中、ロ、印、豪、日など21ヵ国と、欧州連合(EU)が参加。毎年1回、外相レベル会議を開いており、今年は7月27日にバンコクで予定されている。

 ARFは域内の信頼醸成に重点を置いているが、参加6ヵ国の利害が衝突する南沙諸島問題など、なかなか調整が困難な議題も抱えているのも事実。昨年からは予防外交の性格を明確にし、各国の国防政策の自主的な提出、議長の役割強化などを通して、具体的な解決策を打ち出せる体制づくりに努めている。

 朝鮮はこれに参加することにより、アジア太平洋各国はもちろん、EUとの接触機会も広げることになった。会議では、米、中、ロなどと共通の問題について論議すると考えられ、対話による緊張緩和が期待される。

 経済的な面からより注目されるのは、朝鮮の次なる外交課題とされているアジア開発銀行(ADB=本店マニラ)への加盟問題だ。

 ADBは、アジア太平洋地域の発展途上国に開発資金を融資する国際銀行で、1966年に設立。加盟国は域内42の国と地域と、域外の16ヵ国。資本金は約485億ドルに達する。

 朝鮮のADB加盟については、南朝鮮が支持している反面、米日は反対に回っている。

 ADBの議決権は80%が資本金出資額の比率により配分され、歴代総裁は最大出資国の日本から出ている。朝鮮の加盟実現までには、さらなる外交戦が展開されそうだ。

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