障害者家族のネットワーク「ムジゲ」
現場の活動家、教員懇談会

朝鮮学校に入学させたい、専門家とタイアップ


必要な全体の取り組み

 障害児を持つ家族のネットワーク組織ムジゲ(申桃順会長)の父母たちと、現場の担当者らとの懇談会が24日、東京・文京シビックホールで行われた。5月21日、東京朝鮮中高級学校内で行われた「2000年5月の在日同胞大祝典」では、障害者用テントが設けられるなど、同胞社会では「ムジゲ」の活動を通して障害者問題への関心が高まりつつある。だが、組織的な取り組みとしてはこれから、研究すべき点や課題は多い。

 懇談会は、今後福祉連絡会を組織する準備活動の一環としての意味も込められており、総聯中央の゙令鉉同胞生活局長をはじめ教育局、東京都本部の担当者らとムジゲの父母らの、忌たんのない意見が交換された。

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 懇談会で父母らは、自分の子供も健常児同様、同胞社会で暮らせるよう義務教育の過程だけでも、朝鮮学校に入れて民族心を持った朝鮮人に育ってほしいと率直な気持ちを述べた。

 中学生の障害児を持つ李京煕オモニ(44、東京都在住)は、子供を朝鮮学校に入れたかったが教師に負担をかけたくないと障害者学級のある日本学校に通わせた経緯を語った。今後は、朝鮮学校が障害児を受け入れる環境を整備するためにも、同胞専門家とタイアップして障害児への助成金支給を日本の行政に働きかけていくことや、「障害児教育を専門に行っている日本人教師と朝鮮学校教員が連携を持って知識や経験を交流すべきではないか」などの意見を述べた。

 また今後、将来的には障害者が自立できる就職先としての作業所を設立する案も出ているが、一般企業が軽度の同胞障害者を受け入れるよう働きかけていくことも必要だと語った。

 埼玉朝鮮初中級学校で25年のキャリアを持つ金京純教員は、受け持ったクラスのなかに自閉症や知的障害を持つ多動児、言語障害など様々な障害児を担任してきた。そうした経験を基に昨年は、障害児に対する研究論文を作成した。現在は健常児クラスの担任からはずれ、2人の障害児を担任している。

 金教員は、最初の頃に担任したクラスのなかにいた障害児が現在24歳になり、大手企業に就職している例などをあげながら、障害児にどのように対するべきなのかについて、「まず、親が子供の障害を認め、早期に取り組むこと」が重要だとしながら、1人で向き合わないようにムジゲのようなネットワークと連携していくことが大事だと強調した。

 また、「教員1人の努力では限界がある、これからは学校全体の取り組みが絶対的に必要になる」と語った。

 懇談会では、今後生徒たちに障害者への理解を深めさせるために、学校の課外授業のなかに障害者、高齢者と交流させる「福祉の日」などを設けてはどうか、などの意見も出た。 (金美嶺記者)

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