みんなの健康Q&A

食中毒(下)/腸炎ビブリオ 


魚介類に多く塩が大好き/発病すればすぐに専門医に
まな板を絶えず清潔に、新鮮な物を早く食べる

 Q 病原性大腸菌O157以外に、「感染型」の食中毒で気をつけなければいけないものは何ですか。

  サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどが有名です。これにO157を加えたものが「4大原因菌」で、昨年発生した2320件の細菌性食中毒の95%を占めます(厚生省の統計)。

 ここでは、腸炎ビブリオについてお話ししましょう。これは魚介類、とくに干物や塩鮭などの保存食の中で増えます。またはすしや刺身など生食ですね。

 例えば、「夜中にすしは食べるな」と言われますが、その理由はこうです。すしはまな板の上で調理されますが、普通、昼間に干しておいたものを夕方から使い始める。すると、時間が経つにつれて、まな板の上で腸炎ビブリオが増殖してしまうわけです。腸炎ビブリオの菌が増えると発病しやすくなります。

  どのような症状を起こすのですか。

  この病気の特徴は、夜食べると、明くる日に熱が出たり、吐き気をもよおしたり、お腹が痛くなって下痢をすることです。食べてもすぐには発病しません。

 この菌は非常に塩が好きなんですね。海水の中で生きる菌です。普通、塩は菌を殺すと言いますが、腸炎ビブリオは別です。例えば、塩さけのおにぎりで、腸炎ビブリオに感染する場合があります。

  では夏には、すしや刺身などを食べるのは避けた方がいいのでしょうか。

  古くなってはいけないということであって、新鮮なものなら大丈夫です。お店に出されているものは新鮮なネタを使っているでしょうし、まな板などもつねに清潔にしているので安心でしょう。また、食中毒菌がついてしまった食品も、菌が食品の中で増えなければ、食中毒にはなりません。

 ただ、家庭でも同じ事が言えるので、まな板はお湯を通したり、天日で干すなどして、つねに清潔を保つよう心掛けたいものです。また、調理したら早めに食べる、手に菌がつくこともあるので調理の前後にはこまめに手を洗う、肉や魚は手ではなく消毒したハシでさわるなど、細かなことに気を配るようにしたいものです。また、よくいわれることですが、火を通せば菌は死にます。

  そのように気をつけていても、食中毒になってしまったら。

  食中毒は本当に危険です。O157でも12人の方が亡くなるなど、人間の命にかかわってきます。だから、自宅で正露丸を飲んで治そうなんて思わない方がいい。下痢やお腹が痛んだり、吐き気をもよおすようであれば、すぐに専門医にかかることをお勧めします。

 強いていうなら、正露丸で治ればOK、そうでなければ必ず医者に行くべきです。専門医に見せて、点滴をうってもらったりしなければ手遅れになり、一晩や二2晩で死んでしまうこともあるからです。

 しかし、一番大切なことは、前回にもお話ししましたが、食中毒菌に負けない免疫力、自然治癒力をつけることです。免疫力を高めれば、食中毒はある程度予防できるのです。菌を排除するのではなく、菌とうまくつきあっていくことを考えてみたいものです。

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