それぞれの四季
子供のおしゃべり
李 錦 玉
小さい子供たちの話に耳を傾けるのは、本当に楽しい。いつ聞いてもおもしろい。忘れていたものを思い出させてくれて心がうるおう。遊んでいる子供たちが嬉しそうにおしゃべりをしていた。とんだりはねたり走りながらのおしゃべりである。
「おばあちゃんの家いった時、夜、火の玉が見えたんだよ。窓のカーテン開けたら、何もなかった」 「タヌキと黒いモジャモジャの目が光っている怪物が喧嘩して、タヌキが死んじゃったんだよ」 「大っきな、看板の字がお兄ちゃんとこ追っかけてきたんだよ。モンスターみたいに、人間たべちゃうんだよ」 「おふとんのお化けが、風に吹いたら白いモヤモヤになって、人の上にとんできて、グチャグチャ頭にしちゃうんだよ」 おやおや、何のお話かと思ったら、お化けの創り話なのね。「歳はいくつ」と聞くと、4歳と5歳。4人だった。10数年前のこと、孫たちとのおしゃべりが楽しかった。ピョンヤンの冬空に厚い雲がたれこめていた。窓にもたれて外を見ていた2歳たらずの女の子が正確な美しい言葉でうたうように言った。 「あれ、白い雲がふわふわ降ってきた」 そばにいた大人たちは、空を見上げそして女の子を見て、みんな笑顔になった。子供はいとこたち4人が集まると大はしゃぎで遊んだ。家の中がひっくりかえるほど、散らかして、飛びはねて、しゃべり笑い、それを見て大人たちも幸せだった。そういう時期はあっという間に過ぎる。孫は4人とも大学生である。 (童話作家) |