春・夏・秋・冬

 先週、ソウルの友人と久しぶりに会った。「金正日ショック」から2週間経ったソウルは、落ち着きを取り戻し、南北和解ムードが定着しつつあるとのことだった。それで、「朝・日関係は進みそうなのか」と、彼は尋ねてきた

▼朝・日関係は企業秘密なので、またの機会に譲るとして、気にかかったのは、平壌に行った南側のメンバーが、会談の内容をあちらこちらで話しており、中にはとても信じられない内容が含まれているということ。「本当にそうだと思うか?」彼の声が憂えていた

▼長年の経験から言うと、たいがいの人間は、自分の都合の良いことだけを話したがる。なにも嘘をつく必要はない。都合の悪いことは伏せて、都合の良いことだけを抜き出せば済むのだ

▼受けを狙う、自分をことさら大人物に見せる、ライバルに差を付ける、反対勢力をけん制する…。理由は様々だが、問題は前後の脈絡を断ち切ったこれらの発言が一人歩きし、共同宣言の精神をゆがめてしまうことだ

▼それでなくても、南北和解に反対する勢力は、瑕疵(かし)がないかと、虎視眈々(たんたん)と狙っている

▼たとえば亡命者。和解が進めば当然、犯罪者引き渡し問題も浮上してくるだろう。そのとき、殺人を犯し、公金を横領して逃げた連中がどうなるかは、言うまでもない。だから必死になって反対する

▼「南北共同宣言をそのまま受け入れて理解することだよ」「金正日総書記は、本当にソウルに来るのか」「それも宣言に書かれているだろう」「そうか、わかった」――。彼が握手を求めてきた。(元)

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