紫外線の光と影(上)

骨丈夫にするビタミンD作る
風の予防にも


日光浴「適度」が効果的
夏は30分木陰に、冬は1時間程度の散歩を

 梅雨が明けるといよいよ夏本番。この時期、気になるのが日焼けである。日焼けと言えば紫外線。紫外線には、ビタミンDを作るという功 の部分と、皮膚ガンの原因になるという罪 の部分がある。ここでは、紫外線の光(功)と影(罪)について考えてみる。

骨粗しょう症に

 まずは光の部分から。

 白人がよく日光浴をするのはなぜか。答えは、ビタミンDが必要だから。ビタミンDは骨を丈夫にするためには欠かせない。

 例えば、高齢者や過度なダイエットに走る女性たちがなりやすい病気に骨粗しょう症がある。これは、骨の形成が古い骨の吸収のスピードに追いつけなくなり、骨からカルシウムなどの無機質の量が極端に減ってしまう病気。お年寄りが寝た切りになる原因に大腿骨頸部骨折があり、この骨粗しょう症が原因となることから、近年、とくに注目されている。この治療に必要なものの1つがビタミンDだ。

カルシウム吸収

 日光浴をすることによって、体内ではどうやってビタミンDが作られるのか。

 皮膚の中には脂肪酸の1つであるエルゴステロールという物質がある。これが紫外線によってビタミンDに変わる。

 ビタミンDが肝臓に運ばれると一部が活性化し、腎臓で再度活性化して活性型ビタミンDになる。それが腸管でカルシウムの吸収を促す役割を果たす。だから、骨を丈夫にするのに、日光浴が非常に有効なのだ。

 スウェーデンやノルウェーのような白夜の国に住む人々は、日照時間が少ないため、体内でビタミンDを作れず、骨が軟らかくなってしまう「くる病」などで悩んでいた。そのため、少しでも太陽の光を吸収しようと、日光浴を行うのが習慣になった。白人にとって日光浴は、ファッションではなく体のためなのである。

 東洋人の場合も、適度の日光浴は必要だ。乾布摩擦をすると風邪をひきにくくなるように、適度の日光浴によって、体を鍛えれば風邪の予防にもなる。

 もちろん、前述のような骨粗しょう症の予防にも日光浴は効果的だ。夏には直射日光を避け30分ほど木陰などにいれば十分。冬の場合は、晴れた日に散歩や買い物などを1時間程度すると、足腰も強くなり、一石二鳥である。

(監修=韓啓司・恵クリニック院長)

万全な対策を/日焼け止め、日傘、帽子

 待ちに待った夏ももうそこまで。海や高原に出かける機会も自然と増えるのでは。強い日差しを浴びる機会も少なくないだろう。そこで忘れてならないのが紫外線対策だ。

 紫外線はUV(Ultraviolet ray=ウルトラバイオレット)と呼ばれる。シミ、ソバカス、ひいてはガンの原因になるので、十分な注意が必要だ。

 紫外線は、波長の長さでUVA、UVB、UVCの3種類に分かれる。オゾン層に吸収されないUVAとUVBが肌や健康によくないとされる。

 UVA(波長400〜320ナノメートル)は表皮を突き抜け、真皮にまで到達する。たるみ、しわなどの老化現象の原因になる。肌が黒くなる日焼けを起こすのもこれ。

 UVB(同320〜280ナノメートル)は表皮にあたり、肌が赤くなる日焼けを起こす。長時間浴びるとシミ、ソバカスになる。

 さらに、紫外線は皮膚ガンなどの原因にもなる。紫外線によって、皮膚に活性酸素ができ、それによって発ガンする。

 では、紫外線による日焼けを防ぐにはどうしたらよいのか。

 一般的なのが日焼け止めを使うことだ。UVカット製品も広く出回っており、成分表示で効果が明記されているので、場面に応じて使い分けるとよい。

 日傘を差したり帽子を被るのも効果的だ。最近では、晴雨両用ユースの傘も増えているので、今の時期、日傘と雨傘の両方を持たなくてもすむ。

 太陽が雲に隠れていても、紫外線は晴天時の6割は差している。雨の場合でも2割弱が地表に届く。紫外線対策はいつでも必要だ。

 また、UVカットというと、女性を中心に考えがちだが、実は男性の方が紫外線の感受性が強い。男性こそ紫外線対策を万全にすべきだろう。

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